SBIホールディングスはBASEの完全買収を狙っているわけではない。SBIの完全子会社である投資会社SBINM合同会社が8月31日に開始した公開買付けは、2379万2300株という上限を設定している。これは今回の取引独自の株式数算定方式では20.00%の持分に相当し、公開開示で用いられる法定の議決権割合の算定では買付け後の所有割合は別途20.67%となる。買付予定数の下限は設けられておらず、上限を超える応募があった場合、SBIは持株比率が20%を超えないよう按分比例方式で買い付ける。
価格の決定には3回の交渉を要した。SBIは8月12日、BASEの直近終値に対し約13%のプレミアムとなる1株320円を最初に提案した。BASEは大和証券と協力し、実際に十分な応募を集められる価格水準を自ら試算した上で、この提示額では20%の目標達成に届かないとしてSBIに増額を求めた。SBIは8月21日に提示額を330円に引き上げたが、BASEは再び難色を示した。8月27日の3回目の提案となる340円がようやくBASEの基準をクリアし、最終価格として決定した。これはSBIの当初提示額を6.25%上回る水準である。
| 提案 | 日付 | 1株当たり価格 | 直近終値に対するプレミアム |
|---|---|---|---|
| 当初提案 | Aug 12, 2026 | ¥320 | +13.07% vs ¥283 (Aug 10 close) |
| 第2回提案 | Aug 21, 2026 | ¥330 | +5.77% vs ¥312 (Aug 20 close) |
| 最終価格 | Aug 27, 2026 | ¥340 | +8.97% vs ¥312 (Aug 26 close) |
独立した第三者算定機関であるAGS FASは、市場株価法によりBASE株式を286円から311円、ディスカウント・キャッシュフロー(DCF)法により313円から366円と評価した。今回の340円という買付価格はDCF法によるレンジ内に収まる一方、市場株価法によるレンジは上回っている。また、BASEの大株主が2025年に自ら実施した公開買付けで支払った1株407円を大きく下回る水準でもある。この2025年の買付けを契機に、当該株主とBASEの間では1年間の秘密保持契約が結ばれ、友好的な関係が築かれてきた。この契約は8月28日に失効しており、同日にSBIとBASEは資本業務提携契約を締結した。
なぜ持分を20%に抑えるのか。SBIはBASEを子会社ではなく持分法適用会社として位置付けたい考えだ。両社は、PAY IDの自社ユーザー基盤を活用した「Fan ID」データ事業構想を含め、SBIの金融・メディア事業とBASEの決済・EC関連ツールを連携させつつ、BASEを東京証券取引所グロース市場に単独上場させ続けることが狙いだと説明している。BASEの取締役会は8月28日に本公開買付けへの賛同を表明したが、株主に応募を推奨するまでには至らず、応募するかどうかの判断は個々の株主に委ねるとした。同社は、SBIによる取得後もグロース市場が求める流通株式比率25%の上場基準を引き続き満たせる見通しだと述べているが、これは保証ではなく予測にとどまる。BASEはSBIの出資手法として第三者割当増資による方法も検討したが、既存株主の持分希薄化を避けるためにこの方法は採用しなかった。
公開買付期間は9月30日までで、要請があれば10月15日まで延長可能とされている。SBIが20%の目標に届かなかった場合、両社は追加取得に向けて誠実に協議し最善を尽くすことで合意しているが、具体的な方法や時期は未定である。なお、BASEは2月に承認していた自己株式取得計画を別途中止した。
