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政策ウォッチ

内閣府、市町村域をまたぐオフィス立地に都道府県の発言権付与へ

内閣府による都市再生基本方針の改定案は、市町村域をまたぐオフィス・施設の立地判断について都道府県に調整権限を与え、居住集約を図る区域からあらゆる災害危険区域を除外し、歴史的建築物のリノベーションやエリアマネジメントに関する新制度を追加する内容で、パブリックコメントは2026年9月30日までに限られる。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年9月17日2分で読める
重なり合う市町村境界、中心市街地のオフィス集積、居住誘導区域から除外される災害危険区域を示した、様式化されたゾーニング地図。

内閣府は、2002年7月の策定以来、日本の都市再生事業の指針となってきた閣議決定「都市再生基本方針」の改定案について、パブリックコメントの募集を開始した。同方針はその後も繰り返し改定されており、直近では2022年10月に改定された。今回の改定案は、新たに改正された都市再生特別措置法(令和8年法律第23号)の内容を反映したものである。意見の募集は9月30日に締め切られる。

なぜ今なのか

改定案の骨子は、その理由を次のように説明している。人口減少は地方部に集中しており、雇用の不足や中心市街地の魅力低下が若者の流出を一段と深刻化させ、小規模な都市では基本的な生活サービスの維持が難しくなっているという。その対応として掲げられているのが、資料が「令和の街なか再生」と呼ぶ取り組みであり、各地域の稼ぐ力を強化することで、個性ある都市空間に民間投資を呼び込むことを目指すものだ。

都道府県に調整役、オフィスは街なかへ誘導

改定案では、日本の市町村が徒歩圏内の中心市街地への集約を図るために用いる立地適正化計画において、住民だけでなく市外からの来訪者も明示的に考慮したうえで、オフィスやインキュベーション施設、集客施設を中心市街地に誘導することとしている。立地の判断が市町村域をまたぐ場合には、都道府県が「広域的、都市圏的な視点」から関係市町村間の調整を行う権限を持つこととなる。

歴史的建築物のリノベーションと2つの新制度

改定案は、地域の歴史や文化、景観に関わる建築物のリノベーションも推進し、既存の公共・民間ストックを活用してエリア全体の魅力向上を図るとしている。また、公共的施設の整備・管理に関する協定制度と、エリアマネジメント活動に関する計画制度という、2つの新たな仕組みを創設する。

都市再生基本方針の改定案
内閣府による意見募集案より(2026年9月30日まで受付、各規定は未施行)。
規定改定案の内容
中心市街地への施設誘導立地適正化計画により、オフィスやインキュベーション施設、集客施設を中心市街地に誘導
都道府県による調整立地の判断が市町村境界をまたぐ場合、都道府県が立地適正化計画を調整する権限を持つ
歴史的建築物のリノベーションとエリアマネジメント公共的施設の整備・管理に関する新たな協定制度と、エリアマネジメント活動に関する新たな計画制度を創設。あわせて地域の歴史・文化に関わる建築物のリノベーションを支援
災害危険区域の除外立地適正化計画が指定する居住誘導区域から、あらゆる災害危険区域を除外

災害危険区域はすべて居住誘導区域から除外

安全面では、今回の改定により、立地適正化計画が指定する居住誘導区域からあらゆる災害危険区域が除外されることになる。

契機となった法改正と期限

今回の基本方針改定は、2026年5月27日に公布された都市再生特別措置法の改正を受けたものであり、同法は公布日から6か月以内に施行され、一部の規定は最長1年かけて段階的に施行される。基本方針改定案そのものに対する意見は、日本語で、オンラインフォームまたは郵送により、内閣府地方創生推進事務局(東京)宛てに9月30日23時59分までに提出しなければならない。同事務局は、この募集が行政手続法に基づく義務的なものではなく、任意の意見募集であるとしている。今後、閣議決定によって改定内容が正式に決定されるまでは、都道府県による調整権限から災害危険区域の除外に至るまで、本稿で取り上げた各規定はいずれも意見募集中の案にすぎず、確定した方針ではない。