内閣府は月例経済報告の8月版で、景気の総括判断を据え置いた。「緩やかに回復している」との表現は、ここ数カ月と変わらない。今回目立つ変化は方向性ではなく強調点にある。同報告は「中東情勢や自然災害」を景気回復に対するリスクとして挙げ、さらに企業収益について述べる際に中東情勢への留意を再度繰り返している。
項目別に見ると、内容は総じて明るい。個人消費、設備投資、輸出、雇用情勢はいずれも「持ち直している」または「改善の動きがみられる」とされている。消費者物価は「緩やかに上昇している」。唯一の例外が鉱工業生産で、報告は単に「横ばい」としている。
定性的な表現の背後には、確かな数字がある。実質GDPは4~6月期に前期比0.3%増(年率換算1.1%増)となり、3四半期連続のプラス成長を記録した。名目GDPは9四半期連続の増加となっている。失業率は6月に2.5%で横ばいだった。企業倒産件数もおおむね横ばいで、6月は1021件、7月は1028件、7月の負債総額は2363億円だった。
市場動向についても触れられた。日経平均株価は6万1800円台から6万9200円台まで上昇した後、6万5800円台まで押し戻された。円相場は1ドル=163円から156円まで上昇した後、再び159円まで下落した。
こうした内容は日本政府の政策姿勢を変えるものではない。政府は今年度予算および補正予算を「適切かつ機動的に」執行する方針を改めて示し、2%の物価安定目標を「持続的・安定的な形」で達成することについては引き続き日本銀行に委ねている。日本の景気動向を追う読者にとって、8月の報告に数値面での驚きはなく、あるのは企業収益の記述に添えられた、以前ほど目立たなかった中東情勢への言及が二度目として現れたことだけだ。
