金融庁は、愛知県在住で「A」とのみ特定された人物に対し、東京証券取引所グロース市場に上場していた中古車・二輪車販売会社GDSの2024年の株式公開買付け(TOB)に先立つインサイダー取引をめぐり、656万円の課徴金を国庫に納付するよう命じた。納付期限は2026年11月17日で、取引自体から2年半以上が経過している。
2026年9月16日付で、金融庁が翌日公表した決定によると、Aは遅くとも2024年2月1日までに、GDS株式へのTOBを準備していた会社が実施を内部決定していたことを知った。この情報は、GDSの元役員であるBから伝えられたもので、Bは買付企業との自身の取引を通じてこの計画を知ったという。
TOBが2024年3月1日に公表される数日前の2024年2月26日と27日、AはGDS株式合計2万5700株を1910万円で買い付けた。取引は、届出上C証券・D証券とのみ特定された2社の証券会社を通じて行われ、Aが自己勘定で取引したにもかかわらず知人名義で計上された。
| 1株あたり価格 | 買付株数 |
|---|---|
| ¥695 | 12,000 |
| ¥740 | 2,200 |
| ¥795 | 11,500 |
| 合計 | 25,700 |
課徴金は金融商品取引法第175条の算定式に基づくもので、3月1日の公表後2週間におけるGDS株式の最高値999円にAが買い付けた2万5700株を乗じた額から、Aが実際に支払った金額を差し引いて算出される。法律の定めに従い1万円未満を切り捨てた結果、656万円の命令となった。
Aは事案を争わなかった。審判手続の第1回審問期日が開かれる前に、Aは事実関係と課徴金額の双方を認める答弁書を提出しており、金融庁の審判官はこれを踏まえ、争いのある審問を経ずに決定を下した。金融庁の決定要旨によると、GDSは2024年8月23日にグロース市場から上場廃止となった。
本件は、当局が摘発するまでに情報漏えいがどれだけ広がり得るかを示している。今回の連鎖は、買付企業の内部決定から対象会社の元役員を経て、部外者である知人の証券口座に至るもので、取引を行った者が案件から何段階も離れていても、日本のインサイダー取引課徴金制度はこうした伝聞情報を捕捉するよう設計されている。
