信越化学工業(4063)の電子材料事業が上期の増益を牽引した一方、塩化ビニル事業を擁するセグメントは前年同期比で減益となった。中間決算短信によると、2026年9月30日までの6カ月間の連結売上高は10.6%増の1兆4200億円、営業利益は15.6%増の3859億円だった。親会社株主に帰属する中間純利益は11.3%増の2869億円となった。
半導体が上期を牽引
電子材料事業の売上高は16%増の5777億円、営業利益は28%増の2189億円となった。同社によると、データセンターを中心とする歴史的ともいうべきAI関連投資に牽引されて半導体市場が大きく伸長し、一部の製品群で供給逼迫が生じた。精緻な供給対応と価格改定に取り組み、半導体材料の売上高を伸ばしたとしている。ただ、供給逼迫が製品全般に及んだとはしておらず、説明は該当する一部の製品群に限定されている。
同社はまた、半導体市場が3年後に年間2兆ドル規模に達すると見込んでいることにも言及した。規模の比較的小さい他の2事業も同じ方向感を示した。機能材料事業の営業利益は31%増の632億円、加工・商事・技術サービス事業は半導体ウエハー関連容器の堅調な需要を支えに28%増の174億円となった。7〜9月期単独では、営業利益が前年同期比27%増、経常利益が20%増だったとしている。
| セグメント | 前年同期 | 当期 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 電子材料 | 1706億円 | 2189億円 | +28% |
| 生活環境基盤材料 | 1023億円 | 862億円 | -16% |
| 機能材料 | 481億円 | 632億円 | +31% |
| 加工・商事・技術サービス | 136億円 | 174億円 | +28% |
塩化ビニルは逆風
塩化ビニルやか性ソーダを計上する生活環境基盤材料事業は、売上高が4%増の5221億円となったものの、営業利益は16%減の862億円に落ち込んだ。同社によると、塩化ビニルはアジアと周辺地域で在庫過多や需要鈍化を背景に5月後半から市況が軟化した。7月に値上げを実施し、その後の市況は一進一退ながら安定して推移したとしている。か性ソーダはおおむね堅調だったと説明した。
通期予想は据え置き、株主還元を強化
同社は2027年3月期の通期業績予想について、売上高2兆7000億円、営業利益が前期比10.2%増の7000億円、純利益が10.7%増の5250億円とする7月公表の数値を据え置いた。決算短信では業績予想には様々な変動要因があるとしており、下期の新たな数値は示していない。
中間配当は普通配当58円に創立100周年記念配当20円を加えた1株当たり78円とし、年間配当予想は136円とした。上限4500万株または2500億円とする取締役会決議に基づく自己株式の取得は、7月と8月の買付をもって終了した。
決算短信は公認会計士または監査法人のレビュー対象外。2026年11月13日に提出予定の半期報告書にレビュー報告書が添付される。
