積水化学工業は9月10日、クイーンズランド州ブリスベンを拠点とする土地開発・住宅建設事業のAusbuild Group Pty Ltd.および関連会社Ausbuild Partners Pty Ltd.の株式51%を取得し、連結子会社化することを取締役会で決議した。取得価格は約3億3500万豪ドルで、アドバイザリー費用を含んだ額であり、価格調整条項も付いているため最終的な金額は変動する可能性がある。同社は将来的にさらに買収を進め、出資比率を90%まで引き上げる計画があるとしているが、今回の取得はひとまず過半をやや上回る水準にとどまる。
今回の取引の仕組みは、住宅建設会社の買収としては異例に複雑だ。Ausbuild GroupとAusbuild Partnersはそれぞれ、取締役のMatthew Loney氏、Michael Loney氏、Matthew Bell氏に紐づく3つのファミリー持株会社が3分の1ずつ均等に保有している。積水化学工業はAusbuildを直接買収するのではなく、資本金わずか100豪ドルで新設した現地の買収主体SEKISUI HEIM AUSTRALIA AC PTY LTD.(同社の別法人が全株を保有)を通じて、この3つの持株会社の株式51%を取得する形をとる。同社はこの取引の枠組みに取締役2名を送り込む。株式譲渡契約は取締役会決議と同日に締結される予定で、実行は2027年1月を目指し、Ausbuildは2027年3月期中に連結される見通しだ。
積水化学工業が買収する事業の業績はばらつきを伴いながら伸びてきた。Ausbuild Groupの売上高は2023年6月期の2億6590万豪ドルから翌2024年6月期には4億30万豪ドルへ拡大したのち、2025年6月期には3億8250万豪ドルへ縮小した。この間、純利益は着実に増加し2230万豪ドルに達した。
| 6月期 | 売上高(百万豪ドル) | 純利益(百万豪ドル) |
|---|---|---|
| 2023 | 265.9 | 16.1 |
| 2024 | 400.3 | 21.0 |
| 2025 | 382.5 | 22.3 |
戦略的な狙いはクイーンズランド州の住宅需給にある。同州南東部は年2.0%のペースで人口が増加しており、慢性的な住宅不足は現在も政治的な論点となっている。加えて2032年のブリスベン夏季オリンピックを控え需要はさらに高まる見通しだが、建設労働コストの上昇や人手不足が住宅建設会社の経営を圧迫している。積水化学工業はこれをモジュール式、すなわち工場生産型住宅への参入の入り口と位置づけており、日本で68万戸超を供給してきた「セキスイハイム」ブランドを支える工場生産方式を、クイーンズランド州での規制対応の整備を前提としながら、およそ3年以内にAusbuildのタウンハウス事業へ導入する計画だ。同社はまた、クイーンズランド州で電気料金が上昇し河川氾濫や内水氾濫のリスクがあることを踏まえ、太陽光発電、蓄電池、ホームエネルギーマネジメントシステム、洪水に強い設計を重ね合わせていく考えを示している。
積水化学工業は同日、1000億円の社債発行登録の訂正も別途提出したが、その目的はAusbuildに関する開示を参照書類として添付することのみであり、社債の条件そのものに変更はない。買収そのものについては、連結業績への影響は現在精査中だとしており、重要な事項が判明した場合には追って開示するとしている。
