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政策ウォッチ

選挙対策の指針案、具体的な措置は大規模事業者の判断に委ねる

総務省が11月24日まで意見を募集している指針案は、収益化の停止からAI生成ラベルまで幅広い対策を推奨する一方、具体的な選択は各プラットフォーム事業者に委ねる。法的な強制力は年1回の実施状況の公表義務に置かれている。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月26日4分で読める
バッジやラベルの図形が付いたものを含む白紙のフィードカードが、ふるいを通って投票箱の投入口へと向かうイラスト。

総務省は、大規模なオンラインプラットフォーム事業者に対し選挙に関する偽・誤情報の抑制策を示す指針案について意見公募(パブリックコメント)を開始した。指針案は、事業者に何を義務付けないかという点で際立っている。意見の募集期間は2026年10月24日から11月24日までで、根拠法とともに2027年3月1日に施行される予定だ。

根拠となる法律

同指針は、2026年7月13日に議員立法として国会で成立した令和8年法律第58号に基づくものだ。同法は公職選挙法と情報流通プラットフォーム対処法(情プラ法)を改正するもので、改正情プラ法では、総務相が指定する大規模事業者に対し、法令違反の情報や虚偽の情報、事実をゆがめた情報など、選挙の公正を害するおそれのある情報の拡散に対し、サービスの特性に応じた措置を講じることを義務付けている。また、その実施状況を年1回公表することも義務付けている。

指針案は指定対象となる事業者の名称を挙げていない。

網羅的な義務ではなく推奨事項

指針案は、掲げられた措置は例示であるとしている。事業者はすべての措置を講じることを求められるわけではなく、具体的な選択は各事業者の判断に委ねられる。国会審議で表現の自由に最大限配慮する方針が固まったことを受け、指針案は、事業者が講じる措置の内容は行政処分や罰則の対象とならず、法律も個別の投稿に対する判断をプラットフォームに義務付けるものではないとしている。また、事業者に個別の情報の削除を求めるものではないとし、他の手段があるにもかかわらず不必要に送信防止措置を講じることは表現の過度な制限につながると戒めている。

推奨される措置は多岐にわたる。

  • 法律の専門家を含む、選挙期間中の体制拡充。
  • プラットフォームの利用規約に基づく投稿の削除やアカウントの停止。
  • 閲覧数に応じて報酬を得る発信者に対する審査の厳格化、収益化対象の発信者である旨の明示、および選挙の公正に関するルールに違反した場合の収益化停止。
  • AI生成コンテンツに関するルール整備と表示機能の実装、および発信者が表示していない場合でも検知して警告を表示する仕組み。
  • 「本人確認済」バッジや、発信者の国・地域の表示。
  • 選挙管理委員会や候補者、政党など信頼性の高い情報源からの情報を見やすい位置に表示する措置や、選挙の公正を害するおそれのある情報の表示順位の引き下げ。
  • 大量送信や自動プログラムによる投稿の検知。
  • ファクトチェック機関や外部の研究者との連携。

指針案はまた、事業者が基準を事前に公表し、措置の対象となった利用者には適用理由を通知することが望ましいとしている。

罰則の対象

法的拘束力のある義務は、講じた措置に関する年1回の公表だ。指針案はその手続きの流れを説明している。総務相は報告を求めることができ、報告を怠ったり虚偽の報告をしたりした場合は50万円以下の罰金が科される。また、総務相は是正を勧告でき、事業者が正当な理由なく勧告に従わない場合は措置を命じることができる。命令違反には1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科され、法人には1億円以下の罰金が科される場合がある。

指針案は、結果を可能な限り定量的に公表することや、事業者ができる限り批判的かつ客観的に自己評価を行うことを求めている。公表の様式は、今回の意見公募の2つ目の案件である情報流通プラットフォーム対処法施行規則の一部改正省令で定められる予定だ。

これとは別に、指針案は選挙期間中に投稿する発信者の義務も改めて示している。選挙の公示・告示日から投票日までの間に、AIで作成・改変した画像を含む選挙運動用などの文書図画をオンラインで頒布する者は、改変が社会通念上軽微である場合や実際の写真と誤認されるおそれがない場合を除き、その旨を表示しなければならない。候補者に関する虚偽の事項を、その候補者を落選させる目的で公にした場合、4年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金が科される可能性がある。

意見の提出方法

意見はe-Gov、電子メール、郵送のいずれかで提出し、日本語で記入の上、締切日必着とする必要がある。意見が1000字を超える場合は要旨の添付が必要だ。総務省は意見公募の終了後、寄せられた意見を踏まえて規定を確定させる方針だ。