本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

政策ウォッチ

政府、釧路湿原国立公園を2444ヘクタール拡張し利用規制強化へ

環境省の変更案は北海道の同公園を差し引き2444ヘクタール拡張し、ガイド同伴で動力を使わない観光利用への誘導を図る。利用者数の上限や入園料などのルール作りにも取り組む方針で、意見募集は11月21日まで。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月26日3分で読める
木道のあるヨシ湿原、川に浮かぶカヌー、乗馬道に細い地種区分境界線を重ねたイラスト

環境省は、北海道東部の釧路湿原国立公園を差し引き2444ヘクタール拡張して3万1098ヘクタールとし、利用ルールも見直す方針だ。同公園の「第2次点検」と位置付ける変更案について、2026年10月23日から11月21日まで意見募集(パブリックコメント)を実施する。

変更案の主な内容

公園区域は釧路市で1259ヘクタール、釧路町で172ヘクタール、鶴居村で1167ヘクタール拡張する。一方、釧路町の約154ヘクタールは土地利用の変化に伴い資質が低下したとして区域から除外する。

地種区分も見直す。規制が2番目に厳しい第1種特別地域の一部を最も厳しい特別保護地区に格上げし、特別保護地区が732ヘクタール増える一方、第1種特別地域は741ヘクタール減る。第2種特別地域は1624ヘクタール、第3種特別地域は616ヘクタールそれぞれ拡大する。

地種区分別の公園面積(単位:ヘクタール)
環境省の変更案による変更前後の陸域面積(数値は同省の概要資料に基づく)
地種区分変更前変更後増減
特別保護地区6,4567,188+732
第1種特別地域2,3421,602-741
第2種特別地域7,6199,243+1,624
第3種特別地域3,1733,789+616
普通地域(陸域)9,0649,277+213
合計(陸域)28,65431,098+2,444

変更案によると、編入する区域の大半は既存の公園区域に隣接する低層湿原で、多様な野生生物の生息地となっている。一部は河川上流域周辺の森林で、湿原の富栄養化や土砂流入を抑えるために保全が必要だとしている。

観光利用のルール

変更案では公園全域を対象とする自然体験活動計画を新設する。徒歩やサイクリング、乗馬、カヌー、カヤックなど動力を使わない移動をガイドやインタープリターの同行のもとで行う利用形態を促す。同省はガイド同伴エリアの設定や利用者数の上限、入園料などのルール作りにも取り組み、地域の保全活動に還元する協力金の導入も検討するとしている。

施設計画も同じ方向性を打ち出している。鶴居村にはホーストレッキング用の乗馬施設と宿舎、標茶町には動力を使わない河川利用の拠点となる舟遊場を追加するほか、自転車道や長距離自然歩道の一部を構成する歩道も盛り込む。公園内を走る既存の鉄道路線も、湿原探勝のための運輸施設として計画に位置付ける。

車両や動力船の乗り入れ規制区域は、動力船が野生生物に悪影響を及ぼすおそれがあるとして、釧路市、標茶町、鶴居村で対象を広げる。一方、釧路町と標茶町の一部では乗り入れ規制区域を削除する。変更案は、該当地域が特別保護地区に移行するためだとしている。

同省は見直しの理由として、2011年の第1次点検から10年以上が経過したことと、2022年4月に全面施行された改正自然公園法により公園計画にビジョンや自然体験活動計画を盛り込めるようになったことの2点を挙げている。変更案によると、2024年度の同公園の年間利用者数は約51万人だった。

意見提出の方法と今後の日程

意見は日本語で作成し、電子政府の総合窓口(e-Gov)、郵送、または電子メールで環境省国立公園課に提出できる。同省は提出された意見の概要とそれに対する考え方を公表するとしている。

今後の日程は、2026年12月ごろに意見を取りまとめ、2027年2月ごろに中央環境審議会に諮問した上で、同年3月ごろに変更内容を官報告示する予定だ。変更案では料金水準や利用者数の上限は設定していない。