キヤノン(7751)の2026年9月30日までの9カ月間の業績は、売上高が前年同期比4.0%増の3兆4300億円、営業利益が8.4%増の3277億円となった。株主に帰属する純利益は12.2%増の2464億円に伸び、基本的1株当たり純利益は前年同期の240円99銭から287円24銭に上昇した。
イメージング事業が四半期業績をけん引
増益は1つの事業部門に集中した。レンズ交換式カメラやネットワークカメラ、放送機器などを手掛けるイメージング事業は、売上高が16.7%増の8476億円、営業利益が33.2%増の1444億円に拡大した。同期間の同事業の研究開発費は32.0%増加した。
売上高で最大の部門であるプリンティング事業の伸びは緩やかで、売上高は2.3%増の1兆8700億円、営業利益は3.0%増の2082億円だった。一方、メディカル事業とインダストリアル事業は減収減益となった。
| セグメント | 売上高増減率 | 営業利益 | 営業利益増減率 |
|---|---|---|---|
| プリンティング | +2.3% | 2082億円 | +3.0% |
| メディカル | -1.2% | 108億円 | -40.6% |
| イメージング | +16.7% | 1444億円 | +33.2% |
| インダストリアル | -10.7% | 301億円 | -24.8% |
メディカル事業は営業利益が40.6%減の108億円となり、売上高は1.2%減、その他営業費用は8.9%増だった。半導体やフラットパネルの露光装置を含むインダストリアル事業は、売上高が10.7%減少し、営業利益は24.8%減の301億円となった。
会計処理の変更が利益を押し上げ
キヤノンおよび連結生産子会社は2026年1月1日付で、有形固定資産の減価償却方法を従来の主に定率法から定額法へ変更したほか、一部の機械装置の見積耐用年数を変更した。同社によると、グローバル生産体制の見直しを契機に資産の使用実態を調査した結果、経済的便益が平準化されて消費されることが示されたという。
従来の減価償却方法および耐用年数と比べ、9カ月間の減価償却費は209億円減少した。これら一連の変更により、株主に帰属する純利益は144億円、基本的1株当たり純利益は16円83銭それぞれ押し上げられた。同期間の純利益の前年同期比での増加額は268億円だった。同社はこれらの変更を会計上の見積りの変更として扱い、将来にわたって認識する。
通期業績予想と財務状況
決算短信では通期業績予想の修正有無を「有」としているものの、修正前の数値は記載していない。新たな通期予想は、売上高が前期比3.1%増の4兆7700億円、営業利益が0.1%増の4560億円、税引前当期純利益が4830億円、当期純利益が3330億円(1株当たり390円78銭)としている。9カ月累計の営業増益率は8.4%だった。
年間配当予想は中間・期末とも80円の1株当たり160円に据え置いた。同社は配当性向40%を目途にするとしている。
自己株式の取得により資本の圧縮が続いている。自己株式数は前年末の4億5510万株から5億40万株に増加した。株主資本は4.7%減の3兆3300億円となり、株主資本比率は56.9%から52.3%に低下した。短期借入金及び1年以内に返済する長期債務は5111億円から9140億円に、棚卸資産は8404億円から1兆300億円にそれぞれ増加した。
今回の決算短信は監査法人によるレビューを受けていない。キヤノンはレビュー報告書を添付した第3四半期決算短信を10月30日に公表する予定だとしている。
