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栗田工業が利益予想を下方修正、米水処理装置案件1件で原価超過

栗田工業は米国の電子産業向け案件1件で設計の遅れやモジュールの再製作が生じ、見積原価が受注高を超過したため、通期の事業利益予想を615億円から400億円に引き下げた一方、売上高予想は引き上げた

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月29日3分で読める栗田工業6370
工場の組立フロアで、改訂された設計図面を傍らに、一部解体された水処理モジュールの改修作業を行う保護具着用の作業員たち。

栗田工業(6370)は、米国の大型水処理装置案件1件で設計や品質上の課題が生じたことを受け、2027年3月期の利益予想を下方修正した。見積工事原価総額が受注高を超過する見込みとなったため、工事損失引当金を計上したとしている。

損失発生の経緯

対象となったのは、同社の米国連結子会社が施工中の電子産業向け大型水処理装置案件だ。同社によると、米国固有の規格や設計認証、顧客要件への対応で設計の遅れや品質上の課題が生じ、設計の見直しや部材の追加調達、モジュールの再製作が必要になったという。

設計が進んで必要な物量や残存工程がより具体化したため、単価や製作方法、現地施工を改めて精査し、見積工事原価総額の見通しを「大幅に」引き上げた。同案件は工事進行基準を適用しているため、工事進捗率の低下に伴い、これまで計上していた売上高と利益が減少した。同社の発表資料では顧客名や案件名は公表されていない。

修正後の業績予想

栗田工業によると、この案件による前回予想からの減益影響は、9月までの中間期で200億円、通期で236億円となる見込みだ。売上高から売上原価と販管費を控除した独自の利益指標である事業利益は、中間期予想が前回予想比73.6%減の62億円、通期予想が同35.0%減となる。

栗田工業の2027年3月期業績予想修正
単位は10億円(同社の百万円単位の表から換算)。中間期は2026年4〜9月。前回予想は2026年8月6日公表。
項目期間前回予想今回修正予想
売上高中間期198.0206.8
事業利益中間期23.56.2
親会社の所有者に帰属する利益中間期24.67.3
売上高通期425.0455.0
事業利益通期61.540.0
営業利益通期65.543.5
親会社の所有者に帰属する利益通期50.728.7

一方、売上高予想は上方修正した。薬品事業の進捗や装置事業の受注状況を踏まえ、通期の売上高予想を従来の4250億円から4550億円に引き上げた。配当予想は据え置いた。なお、同案件による通期236億円の減益影響に対し、通期営業利益予想の下方修正幅が220億円にとどまる点について、発表資料に内訳の説明はない。

2つの異なる損失

栗田工業が同日関東財務局長に提出した臨時報告書によると、中間期の連結損益への損失影響は184億円となる。これは売上高の減額、売上原価に計上した工事損失引当金繰入額、および同案件の事業計画見直しに伴う関連固定資産の減損損失を合算したものだ。

もう一つの損失は親会社の個別決算のみに計上されるもので、当該子会社を傘下に置く米国持株会社の株式について362億円の評価損を計上した。同社によると、この評価損は連結決算で消去され連結業績には影響しないため、案件の損失と合算すべきではないとしている。

今後の対応

栗田工業は今後、管理体制を強化して完工に向け案件を着実に進めるとともに、今回の設計や認証に関する知見を後続の装置案件に展開するとしている。2028年3月期の中期経営計画の目標は据え置き、11月6日の決算説明会で同案件について説明する予定だ。

同社は同日、この臨時報告書を参照書類に加えるため、社債の訂正発行登録書も提出した。発行予定額は500億円で、うち300億円が発行可能額として残っている。