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日本製紙、地震被災の八代工場でグラフィック用紙・パルプ設備を再稼働せず

日本製紙は地震被害を受け、停止中の八代工場の抄紙機3台を再稼働しないことを決定した。同工場の家庭紙事業計画を見直すほか、敷地の新たな活用法も検討している。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年11月6日3分で読める日本製紙3863
工場建屋内に並ぶ稼働停止中の抄紙機ロールと積み上げられた巻取紙、および安全柵の奥にある建設途中の生産ライン。

日本製紙(3863)は2026年11月6日の取締役会で、令和8年熊本地震による被災を受け、八代工場(熊本県八代市)でのグラフィック用紙・パルプ事業の終了を決議した。被災により稼働を停止している抄紙機やパルプ生産設備、関連設備は再稼働しないとしている。

再稼働しない設備

同社の調査・診断では、工場内の広範囲で生産設備や建屋に甚大な損傷が確認された。主要設備を全面的に補修・更新するには概算で3〜4年程度の工期と相当規模の費用を要するため、原状復旧は極めて困難と判断した。

対象となる抄紙機は3台で、いずれも震災発生以降、稼働を停止している。

稼働を再開しない抄紙機
能力の単位は年産千トン。3台とも震災発生以降、稼働停止中。
設備能力(千トン/年)主な生産品種
4号抄紙機35上質紙
6号抄紙機66上質紙、PPC用紙
N1抄紙機110新聞用紙、PPC用紙

同社は今回の事業終了を「中期経営計画2030」の一環と位置付けており、同計画では需要減少が進むグラフィック用紙の生産拠点集約を構造改革の重点施策としている。

生産品の移管・対応

日本製紙は八代工場の生産品について、顧客への安定供給を考慮しながら自社の他工場への移抄を進めるとしている。一部製品については他社への生産委託または生産終了を予定している。どの製品がいずれの対応となるかは開示されていない。

今後の検討事項

今回の決定はグラフィック用紙とパルプのみを対象としており、開示では工場全体を閉鎖するとはされていない。同社は同じ中期経営計画のもとで八代工場での開始を予定していた家庭紙事業について、生産設備の建設工事を一旦停止し、スケジュールや事業性を見直すことを決めた。家庭紙事業の方針は今年度中をめどに決定する予定だ。

同社は国産材の利活用など同工場での新たな事業も検討しており、他社を含む幅広い分野から協業パートナーを募る。事業基盤として約33万平方メートルの敷地、水・電力インフラ、物流面で活用できる八代港、九州全域で構築してきた木材サプライチェーンを挙げている。同工場の将来構想の具体化には相応の期間を要すると見込む。

八代工場の従業員について、日本製紙は本人の意向や個々の事情に配慮しつつ、社内およびグループ内での配置転換などを通じて雇用確保に努めるとしている。協力会社については影響を確認し、熊本県や八代市と連携しながら各社と対応を協議する。

損失計上と業績への影響

今回の決定に伴う減損損失などは、特別損失の震災による損失に含まれている。日本製紙は中間期に固定資産の減損損失などを含む151億円の損失を計上しており、通期の業績予想にはこうした損失を約200億円織り込んでいる。適時開示では、同日公表された特別損失の計上および業績予想の修正に関する別開示を参照するよう案内している。