国際協力銀行(JBIC)は11月4日、マレーシア国営石油会社ペトロナス(Petroliam Nasional Berhad)との間で、最大6億ドルのクレジットライン(融資枠)を設定するための一般協定を締結した。JBIC自身の融資分は3億6000万ドルで、この金額は6億ドルの上限枠の内数であり、上乗せされるものではない。
融資枠の対象
同枠はJBICの地球環境保全業務(通称GREEN)の下で設定された。ペトロナスまたはその子会社がマレーシア国内外で実施する脱炭素・エネルギートランジション関連事業に融資することを目的としている。
今回の協定はクレジットラインに関するもので、個別案件を対象としたものではない。発表文には具体的な事業や融資実行、融資条件、JBIC以外の貸し手、日本の納入企業は記載されておらず、すでに資金が貸し出されたり契約が受注されたりしたと受け止めるべきではない。
JBICは第2回日馬CCSダイアログの機会に合わせて協定に署名した。CCSは二酸化炭素回収・貯留を指し、二酸化炭素を分離して地中深くや海底下に貯留する技術だ。
政策面の背景
JBICはこの融資枠を、マレーシアが掲げる2050年までの温室効果ガス排出量ネットゼロ目標や、二酸化炭素回収・有効利用・貯留(CCUS)、バイオエネルギー、エネルギー効率を重点分野に挙げる2023年の国家エネルギートランジション・ロードマップと関連づけている。また、同国は日本が主導するアジア・ゼロエミッション共同体(AZEC)の重要なパートナーとも位置づけられている。
発表によると、2026年6月の日本・マレーシア首脳会談では、両首脳がAZECを通じた脱炭素分野での協力に合意したほか、現在の中東情勢を踏まえ、日本のPOWERR Asiaパートナーシップの下でエネルギーのサプライチェーン強靱化に取り組むことでも一致した。
JBICはすでにAZECの下で、ペトロナスとの間で再生可能エネルギー、CCS、バイオ燃料を対象とする覚書を締結している。同行によると、この覚書は2025年10月に更新された。
JBICが掲げる狙い
JBICによると、この融資枠はペトロナスとの協業機会の創出を通じて、日本企業のビジネス拡大につながる見込みだ。今後は、同枠の下での個別案件に対する融資や、参画する日本企業の顔ぶれが焦点となる。
