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政策ウォッチ

政府、次世代船舶基金の上限減額案 アンモニア船実証は長期化

国交省の改定案は次世代船舶プロジェクトの国費負担上限を405億8000万円とし、N2Oリアクタの実証中止を反映。既契約事業者を通じたアンモニア燃料船の長期実証に最大4億9000万円を充て、12月5日まで意見を募る。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年11月5日3分で読める
アンモニア燃料配管、防振マウント、窒素ボンベ、運転時間計を備えた船舶エンジンルームのイラスト。

国土交通省は、グリーンイノベーション基金事業「次世代船舶の開発」プロジェクトの研究開発・社会実装計画改定案について意見募集を開始した。改定案は国費負担上限額を408億8000万円から405億8000万円に引き下げ、N2Oリアクタ開発の終了を反映するとともに、大型アンモニア燃料船の実証期間拡大に向けた予算を追加する。意見募集は法令に基づく手続ではなく任意の意見募集で、受付期間は2026年11月5日から12月5日午後6時まで。

終了する取組

計画の予算欄の注記によると、アンモニア燃料船向けN2Oリアクタの開発は終了した。N2Oはアンモニア燃焼時の副生成物で、同計画は温室効果をCO2の約300倍としている。

国交省の説明資料によると、当初は同リアクタをアンモニア燃料船に搭載してセットで実証し、補助金の重複を避けるため実証航海のアンモニア燃料費をリアクタ開発事業側に計上する予定だった。その後、リアクタ開発事業の実施方法が見直され、実船実証は行わないこととなった。資料によると、この決定は2026年1月のNEDOの委員会で行われた。改定案では、開発終了までに要した約6億8000万円を差し引いた上で、事業費から約6億2000万円を減額している。

拡充する取組

大型アンモニア燃料船は2026年11月に竣工し、直ちに3カ月間の実証航海を開始する予定だ。説明資料によると、先行するアンモニア燃料タグボートの実運航では、3カ月間では課題を洗い出すには短すぎることが判明した。同タグボートでは触媒を保持する筐体が想定以上に振動して耐久強度に問題が生じたため、支持構造物の補強工事を実施したほか、頻繁な窒素ボンベの交換が船員の負担となった。大型アンモニア燃料船の海上公試でも、エンジンの振動と騒音が激しく船内労働環境が悪化したため、エンジンと船体の間に防振材が設置された。

改定案は2つの取組を追加する。1つ目は1年3カ月間のアンモニア使用期間の確保で、触媒の経時変化の検証やメンテナンス間隔の拡大、エンジンと船体の総合的な改善を目指す。2つ目は重油との価格差に相当するアンモニア燃料費の支援で、傭船者との協議の上、約960時間のアンモニア航行を目安とする。資料によると、国際海事機関(IMO)で温室効果ガス(GHG)排出規制の採択審議が延期されたことを受け、傭船者がアンモニアを燃料として使用するインセンティブが低下している。IMOの審議は2026年12月に再開される予定だ。

予算と対象事業者

追加取組の事業費総額は8億1600万円で、国費負担上限額は補助率2分の1に10%のインセンティブを加えた4億9000万円となる。公募は実施しない。海運会社、エンジンメーカー、もう1社のエンジン事業者、および事業期間を2027年4月に始まる年度までとする造船所の既契約事業者4社との契約内容を変更する想定だ。原資料にはこれら事業者の日本語名が記載されている。

項目別の予算上限額の改定案は以下の表の通り。説明資料はプロジェクト総額の増減要因として4億9000万円の増額と6億2000万円の減額のみを挙げている。水素燃料船とLNG燃料船の予算上限額が引き下げられた理由は示されておらず、表では両項目とも計画変更は「無」とされている。

項目別の国費負担上限額(改定案)
国費負担のみ、インセンティブ分を含む。原資料の数値は億円単位、本表では円表記。
項目現行計画改定案
プロジェクト総額408億8000万円405億8000万円
水素燃料船260億5000万円259億5000万円
アンモニア燃料船142億3000万円141億円
LNG燃料船のメタンスリップ対策6億円5億3000万円

本案は意見募集中の改定案であり、最終的な予算決定ではない。