新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は2026年10月19日、廃棄物の大規模ケミカルリサイクル実証の実施予定先にJFEエンジニアリングを採択したと発表した。廃棄物・資源循環分野のグリーンイノベーション基金事業の一環で、同事業の「高効率熱分解処理施設の大規模実証」に新たに追加された唯一の研究テーマとなる。
実証の焦点
2030年を目標に、大規模な廃棄物熱分解ガス化処理設備から得られる合成ガスを用いて化学品を製造するケミカルリサイクル技術を確立し、全体の炭素有効利用率27%以上を目指す。NEDOによると、廃プラスチックから一般廃棄物までの幅広い廃棄物を対象とし、外部水素を使わずに化学品原料を製造するシステムを目指す。
新規テーマでは、廃棄物熱分解ガスを化学品原料の製造に適した原料ガスへ転換する。事業概要資料は技術課題として、合成ガス中の水素を増やして主要成分の比率を調整する技術、酸性成分の除去、微量成分の除去、ガス化処理設備・合成ガス高度調整設備・化学品製造設備の連携向上の4点を挙げている。
事業規模と期間
事業規模は約112億円で、NEDOの支援規模は約71億円を見込む。事業概要資料によると、支援規模にはインセンティブ額が含まれ、今後のステージゲートで進捗などに応じて変更される可能性がある。約112億円は事業全体の規模であり、補助金額とは異なる。補助率は3分の2から2分の1へ引き下げられ、インセンティブ率は10%とされているが、補助率引き下げの適用時期は明記されていない。
事業期間は2026年度から2030年度までの5年間。発表資料に実施場所や設備の処理能力は記載されていない。
廃棄物を対象とする背景
NEDOによると、廃棄物分野の温室効果ガス排出量は世界・日本ともに全体の約3%を占め、国内の同分野の排出量の約8割は焼却などの熱利用に伴うものだ。リサイクルが進んでも熱処理は引き続き必要となるため、同事業では廃棄物から炭素を回収し、資源として産業界に循環・供給することを目指すとしている。
同事業はグリーンイノベーション基金のワーキンググループでの審議を経て追加・見直しが行われ、今回の新規テーマは追加公募を通じて採択された。同基金は総額2兆円で造成され、その後3000億円と4564億円が積み増しされた。研究開発から社会実装まで最長10年間、企業を支援する。
今回の採択は実施予定先と技術目標を定めた段階にとどまる。実用規模での稼働や商業的な採算性、実際の排出削減効果が実証されたわけではない。2030年の炭素有効利用率が、この実証の成否を測る指標となる。
