三菱重工業(7011)は2027年3月期の事業利益予想を従来の5400億円から11.1%増の6000億円に引き上げた。上半期にエナジーおよび航空・防衛・宇宙の各案件で工事が計画より順調に進捗したほか、ガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)案件の採算が改善したと説明した。売上収益予想は5兆4000億円から6兆円に引き上げた。事業利益は同社の国際会計基準(IFRS)上の指標で、売上収益から売上原価、販売費及び一般管理費、その他の費用を控除し、持分法による投資損益とその他の収益を加えたものだ。
| 項目 | 前回予想 | 修正予想 | 増減率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 5兆4000億円 | 6兆円 | +11.1% |
| 事業利益 | 5400億円 | 6000億円 | +11.1% |
| 税引前利益 | 5300億円 | 6000億円 | +13.2% |
| 親会社の所有者に帰属する当期利益 | 3800億円 | 4400億円 | +15.8% |
| 基本的1株当たり当期利益 | ¥113.09 | ¥130.91 | ― |
上方修正の要因
セグメント別の事業利益予想は、エナジーを3400億円から3800億円へ、航空・防衛・宇宙を1700億円から1800億円へそれぞれ引き上げた。プラント・インフラ(900億円)とインダストリアル・ソリューション(300億円)は据え置いた。上半期のエナジーの事業利益は前年同期の807億円に対し1451億円となり、同社はGTCCと原子力を主な増益要因に挙げた。GTCCの受注は北米とアジアで好調だった。
全社の上半期連結業績は、売上収益が19.4%増の2兆5200億円、事業利益が45.3%増の2493億円だった。事業利益率は1.8ポイント上昇の9.9%となった。親会社の所有者に帰属する中間利益は76.9%増の2033億円で、継続事業と非継続事業の合算値となっている。受注残高は14兆2000億円だった。
通期予想になお織り込まれる負担
スチームパワー事業では、2021年に納入した勿来および広野の石炭ガス化複合発電(IGCC)プラントで700億円の損失を計上した。通期予想にはこの700億円にリスクバッファ200億円を加えた計900億円を織り込んでおり、前年度の600億円の費用計上から拡大する。財政状態計算書上の非流動負債の引当金は、3月31日時点の549億円から9月30日時点で1238億円に増加した。決算短信にはこの増加の内訳は記載されていない。
通期予想の前提為替レートは1ドル=150円、1ユーロ=180円で、中東情勢の影響は織り込んでいない。経営陣は受注やサプライチェーンへの直接的な影響は限定的としつつも、情勢は流動的だとしている。上半期の売上計上平均レートは1ドル=158.1円だった。なお、中間決算短信は監査法人のレビュー対象外である。
株主還元は別途決議
取締役会は11月6日、自己株式を除く発行済株式総数の3.6%にあたる1億2000万株、3000億円を上限とする自己株式の取得を決議した。2026年11月9日から2027年11月8日にかけて東京証券取引所で買い付け、取得した全株式を消却する。取得の理由は資本効率の向上としている。
配当予想は据え置き、中間14円、期末15円の年間1株当たり29円(前期は25円)とする。中間配当の支払開始予定日は12月4日。また、今回の業績予想修正により、親会社の所有者に帰属する当期利益予想は3800億円から4400億円に引き上げられた。
