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キッセイ薬品工業、営業損益回復も承認手続き下の薬の評価損で最終減益

キッセイ薬品工業の中間期営業損益は68億4000万円の赤字から16億9000万円の黒字に転換したが、承認手続きに直面する治療薬の関連資産で減損と棚卸資産評価損を計上し、純利益は33.3%減、通期純利益予想も100億円に引き下げ

執筆:Tokyo Brief Desk2026年11月4日3分で読めるキッセイ薬品工業4547
倉庫の棚に並ぶ医薬品の段ボール箱と、別に置かれた1枚のパレット。その横に利益回復を示す棒グラフと評価損を示す網掛けのブロック。

キッセイ薬品工業(4547)の2026年4〜9月期(中間期)連結決算は、営業損益が16億9000万円の黒字(前年同期は68億4000万円の赤字)に転換した一方、親会社株主に帰属する中間純利益は前年同期の77億8000万円から33.3%減の51億9000万円となった。売上高は0.7%減の455億円だった。営業損益と最終損益の乖離は、同社の顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬に関する資産について特別損失を計上したことによる。

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利益減少の要因

経常損益は29億2000万円の黒字(前年同期は56億2000万円の赤字)だった。中間決算短信によると、黒字転換の主因は前年度に計上した技術導入に係る費用の反動による研究開発費の減少で、決算補足資料では研究開発費が163億3000万円から73億1000万円に減ったとしている。売上原価率は上昇しており、キッセイ薬品工業は同治療薬や技術料売上の減少によるものとしている。

特別損失は43億1000万円(前年同期は1億6600万円)で、長期前払費用の減損損失21億6000万円と棚卸資産評価損21億3000万円を含む。投資有価証券売却益80億4000万円を含む80億6000万円の特別利益が業績を下支えしたものの、前年同期の152億円からは縮小した。

キッセイ薬品工業の中間連結業績(4〜9月期、単位:百万円)
キッセイ薬品工業の発表に基づく連結数値。前年同期は2025年4〜9月期。
項目前年同期当期
売上高45,83145,503
営業利益又は営業損失-6,8371,694
経常利益又は経常損失-5,6222,923
特別損失1664,313
親会社株主に帰属する中間純利益7,7845,191

資産評価引き下げの背景

キッセイ薬品工業によると、製造販売承認取消しを含む行政手続きが進められていることから、棚卸資産や長期前払費用を中心とする同薬関連資産について損失を計上した。セグメント情報の注記では、この減損はそれを前提とした会計上の見積りに基づくとしている。

キッセイ薬品工業が報告している経緯は以下のとおりだ。2026年5月15日から慎重な投与を要請する情報提供活動を開始し、5月21日には重篤な肝機能障害について日本の添付文書を改訂するとともに、安全性速報(ブルーレター)を発出した。また、欧米で問題とされている国際共同第Ⅲ相臨床試験データの信頼性および同剤の安全性に関する事実確認を求める厚生労働大臣からの報告命令を受領し、これに回答している。

10月21日の薬事審議会医薬品第二部会では、キッセイ薬品工業の回答に対する厚生労働省の確認結果が報告された。同社によると、同部会では承認審査時の提出資料の信頼性に問題があり得ること、および同剤による有益性がリスクを上回ると判断することが困難であることが確認された。また、対象疾患が重篤かつ希少であるため、現在投与中の患者における治療変更は個別に判断する必要があるとも指摘された。これを受け、厚労省は同日付で通知を発出し、医療機関に対し当面の間、同剤について所定の対応をとるよう要請した。

キッセイ薬品工業の決算短信は、同承認が取り消されたとも、その時期がいつになり得るかとも述べておらず、承認取消しを進行中の手続きの一部としている。

通期予想:営業増額、純利益は下方修正

同治療薬の中間期売上高は44.0%減の31億4000万円だった。決算補足資料によると、同薬の通期売上高予想は67.9%減の37億円となっている。

2027年3月期通期の連結業績予想について、キッセイ薬品工業は売上高を3億円引き上げ890億円とした。同薬の見通しを15億円減額する一方、主に情報サービス事業の受注増によりその他で18億円増額した。営業利益予想は7月時点の見通しから5億円増の25億円、経常利益予想は4億円増の44億円にそれぞれ引き上げた。当期純利益予想は7月時点から33億円引き下げ、前期比27.4%減の100億円とした。

キッセイ薬品工業は純利益予想の下方修正について、中間期の特別損失計上によるものとしている。通期の特別損益は下半期に投資有価証券売却益60億円を見込み、当初見通しどおり140億円を計画している。配当予想は据え置き、中間配当が創立80周年記念配当40円を含む105円、期末配当が65円の年間170円としている。