東京精密(7729)は11月4日、半導体製造装置の販売好調を理由に2027年3月期の通期業績予想を上方修正するとともに、ウエハプローバの生産能力を段階的に倍増させる計画を示した。すでに計上された受注、小幅な業績予想の引き上げ、そしてまだ存在しない生産能力の3つは分けて捉える必要がある。
高水準の業績予想を小幅に引き上げ
修正後の通期予想は、売上高が8月4日公表の1890億円から1920億円へ、営業利益が440億円から450億円へとそれぞれ引き上げられた。半導体製造装置部門の売上高予想を引き上げ、それに伴い各段階の利益予想も上方修正したという。適時開示資料に記載された増減率は8月時点の予想からの変化幅であり、前期比の伸び率ではない。前期の営業利益実績337億4000万円と比べると、新たな予想は33.4%増となる。
| 項目 | 8月時点の予想 | 修正後予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 1890億円 | 1920億円 | +1.6% |
| 営業利益 | 440億円 | 450億円 | +2.3% |
| 経常利益 | 440億円 | 455億円 | +3.4% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 308億円 | 320億円 | +3.9% |
同社の最高経営責任者(CEO)は、売上高と営業利益の予想が中期経営計画の定量目標の水準に達し、1年前倒しで達成する見込みだと述べた。年間配当予想は従来の304円から316円に引き上げ、中間配当は158円とした。同社は連結配当性向40%程度を目安とし、年20円の配当を下限として維持する方針を掲げている。
受注が牽引
上期の受注高は72.3%増の1389億6000万円、売上高は19.9%増の924億円、営業利益は38.2%増の203億4000万円だった。半導体製造装置部門の受注高は86.0%増の1140億7000万円に達し、同社は「ほぼ倍増」と表現した。生成AIを含む高性能コンピューティング(HPC)向けや広帯域メモリ(HBM)向けのプローバ需要に加え、半導体生産を拡大する中国の顧客からの需要が好調だったことを要因に挙げた。
決算説明会資料によると、第2四半期の半導体製造装置の受注高は608億円と、下期に想定していた一部案件の前倒しもあり、会社想定を200億円近く上回った。経営陣は下期も上期並みの受注を見込んでおり、通期の半導体製造装置の受注高は前期比約80%増の2200億円程度に達する計算となる。四半期として過去最高の業績を記録しながらも通期予想の引き上げが小幅にとどまった背景には、この前倒しがある。同社は下期の売上高予想が8月時点からほぼ変わらないとしており、上期実績の計画比上振れが今回の上方修正の主因だと説明した。
生産能力の増強計画
東京精密は2028年度半ばをめどに、プローバの生産能力を台数ベースで今年度上期比2倍に引き上げる方針だ。プローバ市場が年率約20%で成長し、少なくとも2028年までは拡大が続くと想定している。段階的な計画は以下の通り。
- 今年度:既存の飯能工場(埼玉県)の生産スペース増設により30%台前半の引き上げを見込む。従来示していた20%から引き上げた。
- 来年度:同増設の第2フェーズにより、さらに20%台半ば引き上げる。
- 2028年度:飯能第2工場の第1フェーズ竣工に伴い、さらに20%台半ば引き上げる。
決算説明会資料では、引き上げ幅を厳密な数値ではなくレンジで示しており、生産能力も金額ではなく台数ベースで表している。
制約要因
同社は部材調達が引き続きリスクであると説明しており、今後の業績予想にはその動向を織り込むとしている。従来は下期の受注を見込むとしていたハイブリッドボンディング用グラインダについては、顧客との協議を踏まえ、現在評価機として顧客に出荷済みの分を受注計上する計画に改めた。なお、決算説明会資料は監査の対象外であり、中間決算短信も監査法人のレビュー対象外となっている。
