NTT(9432)は水曜、上期の減益決算を発表すると同時に、通期業績予想を上方修正した。上期の減益と通期の上方修正は一見するほど矛盾した組み合わせではないが、上期の数値にはなおいくつか疑問が残る。
増減の内訳
2026年4〜9月期の営業収益は前年同期比8.7%増の7兆3600億円となり、NTTの決算説明会資料によると過去最高を更新した。一方、営業利益は12.2%減の8301億円、税引前中間利益は13.8%減の7664億円、NTTに帰属する中間利益は16.0%減の5002億円となった。基本的1株当たり中間利益は6円15銭(前年同期は7円20銭)だった。
また決算説明会資料によると、EBITDA(NTTの定義では使用権資産に係る減価償却費を除く)は4.9%減の1兆6600億円だった。数値はすべて国際会計基準(IFRS)ベース。NTTの第2四半期(中間期)決算短信には、公認会計士または監査法人のレビューの対象外であると記載されている。
減益の要因
決算短信のセグメント情報からは、落ち込みが特定の部門に集中していたことがうかがえる。グローバル・ソリューション事業のセグメント利益は前年同期の2690億円から1442億円に減少した。総合ICT事業は4747億円から4821億円へ小幅に増加し、地域通信事業は1875億円に対し1882億円とほぼ横ばいだった。短信にはグローバル・ソリューション事業の減益要因についての説明はない。なおNTTの決算補足資料によると、同セグメントの通期業績予想は5月発表分から据え置かれた。
経営陣の新たな見通し
NTTは上方修正の理由として、総合ICT事業セグメントで足元の販売好調に伴い収入が増加したことを挙げている。通期予想は営業利益が1兆7300億円、税引前当期利益が1兆5200億円、NTTに帰属する当期利益が9940億円にそれぞれ引き上げられ、1株当たり当期利益(EPS)は12円20銭とした。上方修正後も、NTTに帰属する当期利益の予想は前期を4.1%下回る水準にある。
決算説明会資料に示された5月8日発表の業績予想からの変更点は以下の通り。
| 項目 | 5月8日予想 | 11月4日予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 営業収益 | 15兆600億円 | 15兆800億円 | +200億円 |
| EBITDA | 3兆4300億円 | 3兆4500億円 | +200億円 |
| 営業利益 | 1兆7100億円 | 1兆7300億円 | +200億円 |
| NTTに帰属する当期利益 | 9800億円 | 9940億円 | +140億円 |
| 設備投資額 | 2兆4300億円 | 2兆4730億円 | +430億円 |
決算説明会資料は上方修正の要因として、ドコモの好調な業績を挙げている。ドコモの通期予想は営業収益が200億円増の6兆8410億円、営業利益が200億円増の9630億円に引き上げられた。一方、NTTデータグループ、NTT東日本、NTT西日本、NTTアーバンソリューションズの予想は据え置かれた。設備投資額の430億円の増額は、トラヒック増大に対応したモバイルネットワークの品質改善に充てる。
キャッシュ・フローの乖離
営業キャッシュ・フローは464億円と、前年同期の9778億円から減少した。キャッシュ・フロー計算書では、営業債権及びその他の債権の増減が前年同期の2178億円の収入から7116億円の支出に転じるなど、大きく変動した項目があるほか、銀行業の貸出金および預金に関する項目も新たに計上されている。ただ決算短信は、営業キャッシュ・フロー減少の要因をこれらのいずれの項目にも帰していない。なお短信は、ドコモSMTBネット銀行の利息を営業活動によるキャッシュ・フロー内で区分掲記するようになったと注記している。
株主還元
中間配当は1株当たり2円70銭と2円65銭から引き上げ、通期では5円40銭を見込む。また2027年3月までを期間とする上限2000億円の自己株式取得枠を設定しており、10月末までに1049億円を取得した。
