東京地下鉄(9023)の2026年9月中間期(4〜9月)は、輸送人員が2.8%増えたものの、費用の伸びが増収を上回り、営業利益が1.6%減の492億円となった。営業収益は3.2%増の2173億円、営業費は4.7%増の1680億円だった。
費用の伸びが運賃収入の伸びを上回る
旅客運輸収入は輸送人員13億3100万人で、3.0%増の1810億円となった。輸送人員は定期が3.0%増、定期外が2.5%増だった。営業利益の増減要因では、営業収益が67億円の押し上げ要因となり、うち旅客運輸収入が52億円寄与した。一方、営業費は75億円増加し、内訳は人件費が16億円、経費が44億円、減価償却費が14億円だった。経費のうち、修繕費は13億円、外注費は11億円、電気料は6億円それぞれ増えた。
利益を圧迫したのは運輸業だ。セグメント営業収益は2.3%増えたが、営業利益は4.8%減の407億円となった。
親会社株主に帰属する中間純利益は349億円から16.3%減の292億円となった。同社は、前年同期の第1四半期に一過性の退職給付制度改定益を計上した反動減などが響いたとしている。経常利益は小幅な2.8%減の431億円だった。
収入は計画未達も通期予想は据え置き
同社は4月28日に公表した通期予想を据え置いた。営業収益は4372億円、営業利益は9.1%減の814億円、純利益は15.3%減の500億円を見込む。各段階の利益はおおむね計画通りに進捗しているという。中間配当は22円とし、年間配当予想も44円を維持した。
例外は旅客運輸収入だ。決算説明会資料によると、首都圏外からの流入減少や天候の影響により、通期予想の3650億円には届かない見通しだ。また、超過労働時間の減少で人件費が計画を下回った一方、電気料は中東情勢の影響などで計画を上回った。資料に再掲された4月時点の予想には中東情勢の影響は織り込まれておらず、同社は精査中としていた。
2028年3月期への警戒感
決算説明会資料には、決算短信にはない先行きへの警戒感が盛り込まれた。2028年3月期の鉄道事業の営業費は、経費や人件費の増加により今期予想の水準を上回る見込みだ。労務費や資材価格の上昇で電気料以外の経費が膨らむほか、賃金改善で人件費も増えるとみている。電気料の先行きは、中東情勢の影響が長期化する可能性も含め不透明としている。
同社は2028年3月期について、営業収益は足元の状況を踏まえて判断する一方、連結営業利益は旅客運輸収入や労務費・資材価格の動向を踏まえると、今期予想を下回る場合があるとしている。このため、中期経営計画の策定時に掲げた目標の達成は「極めて困難」としている。
| 指標 | 2027年3月期予想 | 2028年3月期計画目標 |
|---|---|---|
| 連結営業利益 | 814億円 | 930億円 |
| 連結EBITDA | 1577億円 | 1740億円 |
| 連結ROE | 6.7% | 7.7% |
| 純有利子負債/EBITDA倍率 | 6.5x | 6.3x |
これはリスクの表明にとどまる。同社はいずれの業績予想も修正しておらず、2028年3月期の数値も当初計画の目標を据え置いている。
配当と運賃
同社は株主資本配当率(DOE)3.4%程度を維持する方針のもと、2028年3月期の1株当たり配当金を2円増の46円へ引き上げる目標を変えていない。決算説明会資料ではまた、4つの経営テーマの一つとして、経営努力を前提に2029年3月を目指す運賃改定を挙げているが、改定水準は示していない。
