カカクコム(2371)の取締役会は、買付価格が従来より1円高い1株3683円となり、買付期間が11月12日までのKamgras 1による公開買付け(TOB)への賛同を維持している。対抗するベインキャピタルとLINEヤフーの提案は表面上3700円とこれを上回るが、TOBの開始予定を公表した段階にとどまり、カカクコムの開示資料ではまだ開始されていないと説明されている。
| 買付案 | 1株当たり価格 | 状況 |
|---|---|---|
| Kamgras 1による公開買付け | ¥3,683 | 実施中、11月12日まで延長(計125営業日)。取締役会が賛同 |
| BCPE Blitz Cayman, L.P.(ベインキャピタルおよびLINEヤフー) | 3,700円(KDDIとの不応募契約締結時は3,720円) | 提案公表済み、公開買付けは未開始 |
10月28日の変更内容
Kamgras 1は10月28日に公開買付届出書の訂正届出書を提出し、買付価格を3682円から3683円に引き上げるとともに、買付期間を11月12日までの計125営業日に延長した。カカクコムによると、同社は10月27日に公開買付契約に基づき買付価格の変更について協議を申し入れており、Kamgras 1は対応を検討しているものの、現時点で決定した事実はない。この申し入れは、対抗陣営による10月26日付の提案価格が当時の買付価格を上回ったことを受けたものだ。あわせて参照:Tokyo Briefの過去記事。
提示価格を単純比較できない理由
対抗陣営が示す3720円は、KDDIと不応募契約を締結できた場合に限り適用される。Kamgras 1の説明では、既存のKDDIとの不応募契約上、KDDIが対抗TOBに応募できるのは対抗陣営がKamgras 1の買付価格を2%以上上回る価格を提示した場合に限られ、10月28日の条件変更後で3757円としているこの基準には3700円も3720円も達していない。またKamgras 1は、自社のTOBが継続している間は株主のDGも個別の不応募契約により対抗TOBに応募できないため、非公開化に必要な議決権の3分の2を確保することは困難だと主張している。
これらはカカクコムの開示資料で伝えられたKamgras 1側の見解だ。Kamgras 1はさらに、対抗陣営が買収対象会社の賛同という前提条件の未充足を理由に、開始予定時期を9月中旬から「未定」に変更したとも指摘している。
取締役会の立場
特別委員会の答申内容は10月29日時点で変更はない。Kamgras 1のTOBに賛同する一方、応募するかどうかの判断は株主および新株予約権者に委ねるとした7月2日付の取締役会意見も据え置かれた。
カカクコムは、対抗TOBが開始されないまま期間延長が繰り返される状況は、企業価値や一般株主にとって望ましくないとしている。また、双方のTOBは両立し得ないとも指摘した。特別委員会は引き続き双方と協議を重ね、いずれの取引が企業価値の向上と株主共同の利益により資するか、またTOBの成立可能性があるかを見極めていく方針だ。
特別委員会は10月16日、Kamgras 1のコンソーシアムに対し、早期成立が合理的に見込まれる水準まで買付価格を引き上げるよう要請するとともに、対抗陣営にも二重価格を解消するよう求めた。同コンソーシアムは10月26日、対抗陣営が二重価格での買付予定を公表した影響で形成された市場株価を根拠に価格を引き上げることはできないと回答し、対抗陣営の提案内容を確認した上で対応を検討するとしていた。
今後の日程と自己株式取得価格
スクイーズアウト手続きを承認する臨時株主総会の開催時期は、従来の2026年12月中旬から2027年1月上旬となる見通しだ。TOBに応募しなかった株主から保有株を買い取る自己株式取得の予定価格は、株式併合前の1株当たり2993円から2994円に引き上げられた。
