片山財務相は9月8日の閣議後記者会見で、来年から始まる飲食料品に対する消費税率を2年間1%に引き下げる計画について、財源は特例公債(赤字国債)の発行によらないとの方針をあらためて示した。この方針は8月5日の財政運営に関する閣議決定で初めて示されたもので、同相は「発足当初から全く変わっていない」と記者団に述べた。
公約そのものより、その実現の仕組みが重要となる。片山氏は、高市内閣が進める予算改革において、歳出・歳入の両面で「あらゆる」選択肢を検討したうえで、国内総生産(GDP)に対する債務残高比率を安定的な低下軌道に乗せつつ、国債の年間発行額を決定すると述べた。歳入面では、税制優遇措置や補助金、税外収入をゼロベースで見直し、減税やその他の財政需要に充てる財源を拡大する方針だという。
補正予算は直接的な影響を受ける。片山氏は、日本の財政運営がこれまで補正予算への依存を続けてきたことを「否定できない」と認め、今後は「真に緊急性の高い」施策に限定していくとした。直近の補正予算に盛り込まれた約3兆円規模の物価高対策の支出は見直され、所得連動型の給付に置き換えられる方針で、その給付が本格的に実施されるまでの「つなぎ」措置として、今回の減税自体が位置づけられるという。
政府が進める「日本版DOGE」による歳出見直しについて、片山氏は率直な評価を示した。各省庁が予算要求段階で自主的に廃止・削減を申し出た項目は、これまでのところ「税収減がごく小さいものか、実際には一度も使われていなかったもの」にとどまるという。財務省はこうした自己点検をそのまま追認するつもりはないとし、要求段階はあくまで、その後の税制改正協議を通じてさらに踏み込んでいく長い工程の「第一歩」にすぎないと述べた。
急速な円高について問われた片山氏は、通例どおり具体的な水準への言及は避けたものの、8月3日に自身とベッセント米財務長官が発表した協調介入以降、日本政府の対応方針は「全く変わっていない」と繰り返した。同氏は、G20財務相会合後も米財務省との緊密な連携が続いており、為替市場の秩序ある動きを維持することを目指していると述べた。
会見では住宅ローンにも話が及んだ。返済期間が40年、50年に及ぶ超長期の住宅ローンが広がりを見せる中、片山氏は、変動金利の上昇によってローン条件次第では毎月の返済額や総返済額が「大幅に増加しかねない」として、金融庁が金融機関による借り手への金利リスク説明の実態を注視していると述べた。詳細については、金融庁が近く公表する金融行政方針で示すとし、誤解を招きかねない「中途半端な」発言は避けたいとして、現時点でのこれ以上の言及は控えた。
これらはいずれも、同じ会見で記者が投げかけたより難しい問い、すなわち現金給付を含めて外部試算で年間約5兆円規模とされる補助金・減税パッケージの財源をどう賄うのかという問題には答えていない。片山氏の回答は数字ではなくプロセスであり、予算改革の工程が進む中で具体化していくとの説明にとどまった。
