財務省が全額出資する政策金融機関である日本政策投資銀行(DBJ)が、フラットヤーン系プラスチック製品やターポリン、産業用スリッター機械を手がける倉敷市の萩原工業に出資する。両社は9月7日に資本業務提携契約を締結し、萩原工業の取締役会は自己株式486,600株をDBJに1株1,863円で第三者割当する議案を承認した。払込期日は9月30日で、調達額は総額9億650万円、発行費用約200万円を差し引いた手取り額は9億450万円となる見込み。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 割当株式数 | 自己株式(普通株式)486,600株 |
| 割当価格 | 1株につき1,863円 |
| 調達総額 | 9億650万円(906,535,800円) |
| 手取り額 | 発行費用約200万円を差し引いた9億450万円 |
| 払込期日 | 2026年9月30日(予定) |
| 割当後のDBJ議決権比率 | 3.32% |
| 希薄化 | 発行済株式数ベースで3.27%(議決権ベースで3.44%) |
| 調達資金の使途 | 海外生産能力向けに約10億円、2027年11月〜2028年10月 |
割当価格は8月5日から9月4日までの東京証券取引所における萩原工業株式の終値の1カ月平均値で、9月4日終値1,878円に対して0.80%のディスカウント、3カ月平均に対して4.37%、6カ月平均に対して6.64%のプレミアムとなる。萩原工業の監査役3名(社外監査役2名を含む)は全員、当該価格がDBJに対して特に有利なものではないとの意見を表明した。
割当後、DBJは萩原工業の議決権の3.32%を保有することになり、既存株主の持分は発行済株式数ベースで3.27%希薄化する。この異動に伴い別途の届出も必要となる。発行体の筆頭株主である創業家系の持株会社・萩原は、株式売却によってではなく発行済株式数の増加により議決権比率が10.16%から9.80%へ低下するが、筆頭株主の地位は維持する。
調達資金の使途は明確だ。萩原工業は2027年11月から2028年10月にかけて、海外生産能力の増強に約10億円を充てる計画で、対象は道路舗装やインフラ工事向けのコンクリート補強繊維と、米国市場で需要の強い包装資材の2製品ラインとなる。いずれも萩原工業が2025年12月に策定した中期経営計画「LINK THE LEAP」に位置づけられており、同計画は高付加価値製品の展開と海外市場拡大を成長戦略の柱としている。
資金提供にとどまらず、DBJは資本政策や情報開示、資金調達、M&Aに関する助言など、金融・非金融両面を統合した支援を提供するとしている。これは同行が出資先企業向けに実施する複数年にわたる対話プログラムを通じて行われる。萩原工業は、DBJが政府全額出資の機関であり、他の上場企業に対しても同様の支援体制を実施してきた実績があることを選定理由の一つに挙げている。
希薄化率が25%未満にとどまり、支配株主の異動を伴わないため、萩原工業は独立した第三者機関の意見取得や株主総会決議を必要としなかった。もっとも、この計画は9月30日の払込が実際に完了すること、そして約10億円の海外投資が萩原工業の示した計画どおりに実行されることが前提であり、いずれも現時点では実現していない。
