国土交通省は、申請者が同じ情報を二重に提出する状態を解消したい考えだ。2026年9月8日に意見公募が始まった省令案は、建築確認の本申請や定期検査報告に添付して申請者が現在提出している「概要書」8種類を廃止する。同省の概要資料が示す「一度限り原則」の下では、建築基準法93条の2に基づき公衆の閲覧に供するためだけに、本申請書や報告書にすでに記載されている情報を別途概要書として再提出する必要はないとされる。
廃止対象となる書類は、建築計画概要書、工事計画概要書のほか、昇降機、昇降機以外の建築設備、防火設備、遊戯施設などに関する定期検査報告概要書に及ぶ。開示義務そのものは維持するため、同省は代わりに確認申請書、構造計算適合性判定書、定期検査報告書、全体計画認定申請書といった本体の申請書・報告書自体の記載項目を拡充する方針だ。
公衆の閲覧権は、廃止される概要書から各特定行政庁が備える台帳へと移る。改正後は、台帳に建築確認、完了検査、許可、認定といった実際の処分が記録され、その台帳記載自体が閲覧の対象となる。従来は検査概要書の中に埋もれていたアスベスト調査の実施状況と耐震診断・改修の状況という2項目は、概要書の一部としてではなく、それ自体が直接閲覧できるようになる。
同省令案は、団地の認定や全体計画の認定を含む許可・認定・指定およびその取消しに関する通知18種類についても、押印の義務を廃止する。同省の説明では、基となる処分が公開台帳で確認できるようになれば、押印は通知の真正性に何ら寄与しないという。
防火面では、防火設備に関する定期検査報告書は現状、是正の要否を〇×で答えるだけとなっている。改正後の様式では、建物内の防火設備の総数と是正が必要とされた件数の両方を報告させることになり、特定行政庁が未是正の防火上の不備が多い建物を把握し、優先的に指導できるようにする狙いだ。
これらはいずれもまだ法制化されていない。行政手続法に基づく意見公募期間は2026年9月8日から10月8日までで、同省は2026年10月中の公布を見込む。ただし施行は2028年4月1日まで開始されない。同省によれば、一部の自治体は現在も個別のシステムを運用しており改修が必要なため、一度限り原則やペーパーレス通知を全国的に機能させるには、共通のデジタルシステムの構築・更新に1年以上を要するという。
| 段階 | 日付 |
|---|---|
| 意見公募開始 | 2026年9月8日 |
| 意見公募終了 | 2026年10月8日 |
| 公布予定 | 2026年10月 |
| 施行予定 | 2028年4月1日 |
建設・不動産分野のコンプライアンス担当者にとって、当面の課題はシステム対応の計画ではない。建築確認や定期検査に関する書類ルールが今後10年近く固定される前に、1カ月間の意見公募期間中に意見を提出するかどうかを判断することだ。
