本文へ移動

金融プロフェッショナル向けに、日本の市場・ビジネス情報を平日夕方に配信。

無料登録
Tokyo BriefTokyo Brief 日本語版日本のビジネスニュースを、夕方に総まとめ。

政策ウォッチ

日本、鉱物供給者の撤退リスク調査権限を検討 サイバー攻撃報告義務も追加

経済産業省の改定案は、鉱物供給者の撤退が日本の供給を混乱させるリスクがある場合に限り調査を可能にし、認定プロジェクトにサイバー攻撃の報告を同省経由で内閣官房のサイバー調整機関へ伝えることを義務付ける。意見募集期限は2026年10月4日。

2026年9月4日3分で読める
精錬炉へと運ばれる工業用ベルトコンベア上の鉱石原料を描いたイラスト、日本の重要鉱物サプライチェーンを想起させる

日本の重要鉱物に関する基本政策の改定案は、鉱物供給者の撤退が日本の供給を混乱させるリスクがある場合に経済産業省が調査できる新たな権限を付与するとともに、政府支援の鉱物プロジェクトに携わる企業に対し、サイバー攻撃の報告を同省を通じて内閣官房のサイバー調整機関に伝えることを義務付ける。経済産業省(METI)は2026年9月4日、「重要鉱物の安定供給確保に向けた政策」の第4回改定案についてパブリックコメントの募集を開始した。提出期限は10月4日23時59分(日本時間)まで。

最も重要な変更は、同省自身が作成した新旧対照表で「新設」と記された条項にある。つまり現行の条文には相当する規定が存在しない。経済安全保障推進法第9条の2に基づき、経済産業省は重要鉱物事業者の撤退がその供給を損なうリスクがある場合に日本の鉱物供給への影響を調査できるようになり、必要に応じて当該事業者に供給確保計画の提出を促すことができる。これに付随する第11条の2の規定では、認定事業者が承認済みの計画を実行できないおそれがあり、大臣が特に必要と判断した場合に、原材料供給者その他の関係者に協力を求めることができるとしている。

改定案で追加される主な内容
経済産業省の改定案本文および公式の新旧対照表に基づく。改定案は現在もパブリックコメントを募集中である。
変更点法的根拠内容
新たな調査権限経済安全保障推進法第9条の2重要鉱物事業者の撤退が供給を混乱させるリスクがある場合に限り、経済産業省が供給への影響を調査し、計画の提出を促すことができる
新たな供給者協力要請経済安全保障推進法第11条の2認定事業が承認済みの計画を達成できないおそれがあり、大臣が特に必要と判断した場合、経済産業省は原材料供給者に協力を求めることができる(強制はしない)
サイバー事案の報告義務政策の実施体制に関する章の新条項認定供給者はサイバー攻撃またはその疑いを速やかに経済産業省に報告しなければならず、同省が内閣官房のサイバー調整機関に伝達する
サイバーセキュリティ章の改訂政策第6章第3節調整の窓口が内閣官房のサイバー調整機関に移行し、星評価によるサプライチェーンセキュリティ制度(2027年3月開始)とIoTラベリングに関する勧告が追加される

撤退リスク条項は仮定の話ではない。改定案が引用する経済産業省自身の依存度データによれば、中国は日本のリチウム輸入の約55%を供給し、世界のリチウム精錬能力の約60%を握っている。黒鉛やガリウム、複数のレアアースについては集中度はさらに高い。財務上の問題であれ、対抗国による輸出規制であれ、戦略の転換であれ、主要な供給者がプロジェクトから撤退する事態こそ、新たな調査権限が早期に捉えることを狙うシナリオだ。ただし同省が介入するのは、その撤退が実際に供給を脅かす場合に限られる。

改定案はまた、現時点では存在しない報告義務を新たに盛り込んでいる。認定供給者は、政府支援プロジェクトの規模が小さくても、サイバー攻撃またはその疑いがあれば速やかに同省に報告しなければならず、同省がこれを内閣官房のサイバー調整機関に伝達する。政策のサイバーセキュリティに関する章は、従来の閣僚レベルの枠組みに代えてこの機関を通じた調整とするよう書き換えられており、供給者向けの新たな2つの仕組みも追加された。すなわち、2027年3月から運用開始予定の星評価によるサプライチェーンセキュリティの「SCS評価制度」と、JC-STARと呼ばれるIoT製品ラベリング制度であり、認定企業には両基準を自社の供給者にも波及させるよう指示している。

2023年1月に初めて策定され、すでに3回改定されてきた基本政策は、探査、鉱山開発、精錬、技術関連プロジェクトに対し、国が運営する鉱物資源機構(JOGMEC)を通じて補助金を交付している。これには、計画中の電池製造拠点を支えるため、2030年までに国内供給量をリチウム年間約10万トン、ニッケル年間約9万トンとする目標も含まれる。経済産業省の鉱物政策担当部署は10月4日までe-Govポータルを通じて意見を募集しており、改定案の最終的な発効時期については同省から言及がない。