経済産業省は、蓄電池に対する経済安全保障支援を規定する政策の改定案についてパブリックコメントを開始した。最大の変更点はサイバーセキュリティだ。同省電池産業室によると、今回の改定では「サイバーセキュリティ対応が必要な事項」を追加するほか、経済安全保障推進法(2022年法律第43号)の改正に伴う規定や、全体で約34ページに及ぶ文書全体の文言整理も行うという。
現行政策が既にカバーする内容
安定供給に関するこの政策は2023年1月に初めて策定され、2024年3月に最終改定されたもので、経済安全保障推進法第8条に基づき、リチウムイオン電池、その材料(正極材、負極材、電解液、セパレーター)、または製造設備を扱う企業からの「供給確保計画」の認定要件を定めている。認定を受けた事業は、日本のクリーンエネルギー技術機関であるNEDOを通じた補助金を活用できる一方、既にサイバーセキュリティに関わるチェック項目を満たす必要がある。現行の規定では、認定事業者は経済産業省とIPA(情報処理推進機構)のサイバーセキュリティ経営ガイドラインに従うことが求められ、定置用蓄電システムのメーカーについては、制御システムのソフトウェア脆弱性を点検し対処することが求められている。現行の文書にも、サイバーセキュリティ確保に関する専用の章立てが既に存在する。
改定案による変更点
公示では新たなサイバーセキュリティに関する文言が逐条的に示されているわけではないが、改正後の経済安全保障推進法を踏まえ、既存の、主にガイドラインベースの枠組みに要件を上乗せする変更と位置付けられている。同省が説明する文言整理と合わせて考えると、今回の改定はサイバーセキュリティを単なる推奨事項ではなく、より確固たる認定条件へと引き上げる取り組みと読み取れる。ただし、その具体的な範囲や、定置用システムにとどまらず車両用電池や上流の材料メーカーにまで及ぶのかどうかは、パブリックコメント用に公開された抜粋には詳述されていない。
誰が、いつまでに注意すべきか
電池、電池材料、電池製造設備の供給確保計画の認定を既に受けている、または申請中の事業者にとっては、認定がNEDOの助成制度への入口となるため、サイバーセキュリティ基準がどう変わるかが直接的な関心事となる。意見の提出期限は2026年10月5日で、所定の様式を用いて日本語で、e-Govポータル経由、郵送、または電池産業室宛のメールのいずれかで提出する必要がある。同室は案件番号595320021として本件を扱っている。改定案および現行の政策文書はいずれもe-Govに掲載され、閲覧可能となっている。
今回の公示は、これがあくまで提案であり最終的な規則ではないことを明確にしている。サイバーセキュリティに関する規定がまだ確定していないからこそ、同省は意見を募集しているのであり、対応負担や適用範囲に懸念を持つ企業は、10月5日の意見提出期限までにその懸念を提起することができる。
