大阪拠点のスーパーマーケットチェーン、ライフコーポレーションは9月8日、北陸地盤の食品スーパー、アルビスに対し、自己株式とアルビス筆頭株主の三菱商事が保有する株式を除く全株式を対象にTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表した。アルビス取締役会は同日、買収を支持し株主に応募を推奨する決議を行った。これは本取引によりアルビスを非公開化し、東京証券取引所プライム市場への上場を廃止することを明示的な前提としている。買付価格は1株3780円で、9月9日開始、前営業日終値2501円に対して51.1%のプレミアムとなる。
このプレミアムは容易には決まらなかった。ライフコーポレーションが8月10日に示した当初の提示額は1株3330円で、アルビス取締役会と独立特別委員会は4回にわたる提示を不十分として拒否した末、SMBC日興証券によるDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法での評価額(最大4148円)を検討したうえで、9月7日に3780円で決着した。買付期間は2026年9月9日から11月10日までで、ライフコーポレーションは買付予定株式数の上限を設けず、下限のみを417万1200株(対象株式の49.92%)と定めている。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 買付価格 | 1株3780円(9月7日終値2501円に対し51.1%のプレミアム) |
| 買付期間 | 2026年9月9日~11月10日(営業日ベースで40日間) |
| 買付予定株式数の下限 | 417万1200株(対象株式の49.92%)、上限は設定なし |
| 取引完了後の最終保有比率 | ライフコーポレーション83.38%、三菱商事16.62%(非応募) |
| 予定されるスクイーズアウト | TOBで全株式を取得できなかった場合、2027年1月下旬頃に株式併合を実施する見込み |
| 2027年3月期の配当 | 1株70円からゼロ円に引き下げ。中間配当は完全に取りやめ、期末配当はTOB成立の場合に取りやめ |
この下限株式数は恣意的なものではない。既に賛同を得ている議決権と合わせることで、株式併合という形で残る株主を締め出す「スクイーズアウト」に必要な3分の2以上の株主多数を確保できるよう設定されており、両社はこの手続きを2027年1月下旬頃に完了する見込みだ。スクイーズアウトを含む一連の手続きが完了すると、ライフコーポレーションはアルビス株式の83.38%を保有することになり、アルビス筆頭株主の三菱商事は16.62%を保有したまま、売却せずに株主として残る。三菱商事はライフコーポレーションの筆頭株主でもあり、同社株式の24.37%を保有しており、保有するアルビス株式をTOBに応募せず、臨時株主総会でスクイーズアウトに賛成票を投じる旨の正式な合意書を締結している。ライフコーポレーションは、三菱商事がアルビスに既に出向させている人員を含め関与を継続することで、取引成立後も同商社の食品流通ネットワークを両社のために機能させ続ける狙いがあるとしている。
株主として残らない株主にとっては、TOB成立を待たずに計算が変わる。アルビスは9月8日、2027年3月期の配当予想を1株70円からゼロに引き下げると発表した。2026年9月30日を基準日とする中間配当は、TOBの成否にかかわらず支払われず、期末配当もTOBが成立すれば完全に取りやめとなる。アルビスによれば、ライフコーポレーションが提示した3780円という価格は、期中に配当が支払われないことを前提に算定されたもので、これはアルビスが現行の中期経営計画で掲げていた配当性向30%目標からの転換となる。同じ9月30日基準日に連動していた従来の株主優待制度も廃止され、TOBが成立すれば優待制度全体が来期から撤廃される。
残された焦点は、アルビスの他の株主が11月10日までに49.92%という下限を上回る応募をするかどうかだ。応募が下限に達すれば、スクイーズアウトを承認する臨時株主総会は2027年1月上旬に開催される見通しで、株式併合比率は今後決定される。
