飯野海運(9119)は11月5日、2027年3月期の連結業績予想を上方修正した。数値そのものと同様に、今回の見通しの前提条件も重要となる。売上高予想を8月時点の1360億円から1490億円へ、営業利益を120億円から140億円へそれぞれ引き上げた。経常利益は96億円から117億円、親会社株主に帰属する当期純利益は140億円から158億円に増える見通しだ。
前提とするシナリオ
同社によると、今回の業績予想は2026年度(2027年3月期)を通じてホルムズ海峡の事実上の封鎖が継続することを前提に策定している。今後の国際情勢の変化により業績予想の見直しが必要となった場合は、速やかに開示する方針だ。これは経営陣が置いた前提シナリオであり、足元の情勢認識を示すものではない。
燃料油価格の前提は大幅に引き上げられた。下期の適合燃料油(シンガポール補油)の前提価格を1トン当たり940米ドルとし、8月時点の580米ドルから見直した。為替の前提は1ドル=155円で据え置いた。燃料油価格の前提変更が利益にどう影響するかについて、発表資料では言及していない。
上方修正の要因
飯野海運は業績予想引き上げの要因として、ケミカルタンカーとドライバルク船の市況が堅調で10月以降も継続すると見込むことや、効率的な配船を挙げた。上期の経常利益は円安も押し上げ要因となった。ケミカルタンカーでは、事実上の海峡封鎖により主力の「中東発・欧州およびアジア向け」航路で配船制限を受けたものの、米国やアジア発の長距離スポット貨物を積極的に取り込み、収益確保に努めたとしている。
上期決算の内実
上期の連結業績は、売上高が749億7000万円、営業利益が前年同期比15.7%増の66億8000万円だった。経常利益は10.0%減の59億3000万円となった一方、中間純利益は62.0%増の121億1000万円に膨らんだ。中間連結損益計算書によると、固定資産売却益を70億1000万円計上しており、前年同期の12億3000万円から大幅に増えている。
株主還元も強化する。中間配当を従来予想の1株当たり27円から30円に引き上げ、期末配当予想も30円とすることで、年間配当予想を従来の53円から60円に増額した。なお、通期の経常利益予想は依然として前期比30.7%減の水準にとどまる。
