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エイチ・アイ・エス、グアムのリース解約損59億4000万円で9カ月間は純損失

エイチ・アイ・エスは7月までの9カ月間、グアムのホテル用地の賃貸契約解消に伴う59億4000万円の費用計上により49億9000万円の純損失に転じた。もっとも旅行需要自体は底堅く、訪日外国人数が過去最高水準を維持する一方、円安と燃油サーチャージ高が響き日本人の海外渡航は2019年比74.2%にとどまった。同社は中間配当をゼロに引き下げつつ、通期の損失予想は据え置いた

2026年9月11日3分で読めるエイチ・アイ・エス9603
測量杭が立つビーチフロントホテルの敷地境界線、旅行チェックインカウンター上の円紙幣と燃油サーチャージ券を描いたイラスト

エイチ・アイ・エスは7月までの9カ月間の親会社株主に帰属する純損益が49億9000万円の赤字となり、前年同期の17億8000万円の黒字から転落した。この変動はほぼ全て、旅行需要の落ち込みではなく一時的な会計上の費用計上によるものだ。同社は同期間に61億2000万円の特別損失を計上し、その大半はグアムの子会社GUAM REEF HOTEL, INC.が計上した59億4000万円のリース解約損によるもので、同子会社がホテル敷地の土地を購入したことに伴い、既存の不動産賃貸借契約を解消する必要が生じたためだ。

この費用を除くと、実態はより穏やかながらも軟調な内容だった。9カ月間の売上高は前年同期比4.9%増の2793億円だったが、営業利益は同18.1%減の51億3000万円、経常利益は同23.8%減の46億1000万円にとどまった。経営陣は、円安の長期化や燃油サーチャージの上昇、中東方面の旅程の混乱を海外旅行部門の採算悪化の主因に挙げたほか、レジャー需要の低迷やグアムのホテル自体で発生した台風関連の修繕費用も影響したとした。

セグメント別の業績は明暗が分かれた。旅行事業の売上高は2285億円と前年同期比104.3%だったが、営業利益は28億4000万円と前年同期の59.9%にとどまった。ホテル事業は堅調で、売上高は206億3000万円(同109.5%)、営業利益は34億1000万円(同114.6%)となり、グアムの物件が重荷となる一方で国内ホテル需要の底堅さが支えとなった。エイチ・アイ・エスのバス・小売・不動産事業を担う九州産交グループは、売上高201億1000万円(同106.4%)、営業利益7億3000万円(同118.3%)を計上し、運賃改定や台湾企業による同地域への投資に一部関連した地域需要の高まりが押し上げた。

エイチ・アイ・エス、9カ月間セグメント業績
セグメント間消去前のセグメント別売上高・営業利益(2026年7月までの9カ月間、前年同期比として表示)。
セグメント売上高(億円)売上高、前年同期比(%)営業利益(億円)営業利益、前年同期比(%)
旅行228.5104.3%2.8459.9%
ホテル20.63109.5%3.41114.6%
九州産交グループ20.11106.4%0.73118.3%

日本の訪日旅行市場は構成が変化しつつも過去最高水準を維持した。9カ月間の訪日外国人数は3166万人で前年同期比100.1%となり、中国からの入国者数が大きく落ち込む一方で他地域がその分を補った。一方、日本人の海外渡航は逆の動きを示した。開示資料が引用する日本政府観光局(JNTO)のデータによると、日本人出国者数は1076万人で前年同期比5.8%増となったものの、2019年の同じ9カ月間との比較では74.2%にとどまり、円安や燃油サーチャージの高止まり、一部中東路線の需要減が依然として重荷となった。

エイチ・アイ・エスは中間配当を前年の10円からゼロに引き下げる一方、期末配当予想は25円で据え置き、通期の配当合計は前年実績の20円に対し25円とした。通期見通しは6月に公表した計画から変更せず、売上高3950億円、営業利益120億円、親会社株主に帰属する純損益は10億円の赤字を見込む。

貸借対照表にも変化が見られた。エイチ・アイ・エスの自己資本比率は前期末の14.4%から13.3%に低下し、短期借入金は87億円から438億5000万円に急増した。開示資料のセグメント注記では、この借入金増加の具体的な要因については貸借対照表の数値そのもの以外に言及がない。これとは別に、連結グループの構成は9カ月間で変化し、子会社2社が新たに連結の範囲に加わり、1社が連結の範囲から除外された。

グアムのリース解約損は土地購入に伴う一時的な取引で、既に完結しており、ホテル事業全般の不振を示すものではない。同事業は当該1物件の重荷にもかかわらず、9カ月間で増収増益を確保した。株主は今年、中間配当のないまま、予想される25円の期末配当を待つことになる。