東京証券取引所に上場する解体・メンテナンス業者のベステラは、半期報告書で、2026年4月7日に神奈川県川崎市の現場でアンローダークレーンの解体作業中に解体対象の設備の一部が落下し、4人が死亡したことを明らかにした。2026年9月11日に関東財務局に提出されたこの報告書によると、その後の捜索で行方不明者の身元が確認され、関係当局による調査が継続しており、ベステラは全面的に協力しているという。
同社の記載は意図的に限定的なものにとどまる。事故が財政状態および業績に影響を及ぼす「可能性がある」としながらも、現時点でその影響の規模は不明であり、進展があれば随時開示するとしている。原因や過失、責任の所在についての認定は報告書には記載されていない。
今回の事故は、それ以外の点では好調だった上半期の業績の中で発生した。2026年7月末までの6カ月間の売上高は前年同期比15.6%増の約59億円、営業利益は2倍超の5億7480万円、経常利益は183.2%増の6億900万円となった。前年度から繰り越された大型解体案件の工事が計画を上回るペースで進捗したことに加え、ベステラが採算性を重視して新規受注を選別したことが寄与した。
| 項目 | 2026年7月期(6カ月間) | 2025年7月期(6カ月間) | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥5.90bn | ¥5.10bn | +15.6% |
| 営業利益 | ¥574.8mn | ¥226.2mn | +154.1% |
| 経常利益 | ¥609.0mn | ¥215.1mn | +183.2% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | ¥99.1mn | ¥220.6mn | -55.1% |
この営業面の好調は最終損益には及ばなかった。親会社株主に帰属する当期純利益は55.1%減の9910万円にとどまった。投資有価証券について5億円の評価損を計上したことが要因で、他の保有株式の売却益3億1390万円による相殺は一部にとどまった。解体・メンテナンス事業そのものは単体で好調に推移し、完成工事高は18.7%増の58億6000万円、セグメント利益は45.4%増の12億8000万円となった。大型案件への対応として現場監督者の増員を進めたことが寄与した。
この成長を賄うため、貸借対照表は大きく動いた。ベステラは大型案件向けの運転資金を確保するため60億円の長期借入金を新たに調達し、現金は76億5000万円、総資産は137億円に増加した。自己資本比率は前期末の64.8%から38.3%に低下した。取締役会は1株当たり15円の中間配当も決議しており、支払いは2026年10月13日を予定している。
解体工事を中核事業とする企業にとって、いまだにコストを見積もれない事故は、貸借対照表以上の重みを持つ。ベステラ自身の開示も財務的な影響を未確定のままとしており、川崎の事故に関する調査は継続中で、同社は進展があれば適時開示するとしか述べていない。
