自動車用ゴムホースを手掛ける兵庫県のニチリン(東証:5184)の2026年6月までの6カ月間(上半期)の売上高は前年同期比18.3%増の423億円となったが、北米事業は米国の追加関税が利益を圧迫し、営業損益は赤字に転落した。
同社の利益増減要因分析(プロフィットブリッジ)は、売上高の伸びが利益の伸びに完全には結びつかなかった理由を示している。連結営業利益は前年同期比5.9%増の52億円となり、販売数量増加による18億円の押し上げと、為替影響および値上げを合わせた8億円の押し上げがあった。これらの増加要因は、固定費の16億円増加と、ブリッジ上で別建てとなっている米国の追加関税による4億円の増加によって、その大半が相殺された。北米事業単体では、売上高が前年同期比42.9%増の99億円となった一方、営業損益は2億5000万円の赤字となり、同社は追加関税などを要因として挙げている。前年同期は5億4700万円の黒字だった。
| 項目 | 2025年上半期(億円) | 2026年上半期(億円) | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 35.7 | 42.3 | +18.3% |
| 営業利益 | 4.9 | 5.2 | +5.9% |
| 経常利益 | 4.3 | 5.5 | +27.4% |
| 純利益 | 3.0 | 2.9 | -4.1% |
営業外損益を含む経常利益はより大きく伸び、前年同期比27.4%増の55億円となったが、親会社株主に帰属する当期純利益は同4.1%減の29億円となり、今回の決算で唯一減少した項目となった。
経営陣は下期の想定為替レートを期初の1ドル150円から160円に引き上げたものの、通期業績予想については売上高780億円、営業利益93億円、純利益56億円のまま据え置いた。同社は計画を上回る余地があるとしつつも、北米事業や追加関税、原材料価格、令和8年熊本地震の影響を巡る不透明感が続いていることから、予想を据え置いたとしている。上半期を終えた時点で、通期売上高計画に対する進捗率は54.2%、営業利益計画に対する進捗率は56.0%となっている。
株主還元について、ニチリンは年間配当を1株当たり190円(中間95円、期末95円)とすることを確認し、配当性向45%、DOE(自己資本配当率)下限2.5%を目標とするほか、上限15億円の自社株買いを実施し、取得した自己株式はすべて消却する予定としている。2026~2028年の資本政策計画では、総額350億円を投じる方針で、内訳は成長投資に205億円、株主還元に130億円、その他投資に15億円としており、このうち上半期に実行済みの金額は56億円、進捗率は15.9%となっている。PBR(株価純資産倍率)は同計画に組み込まれた目標の1.00倍に対し0.85倍となっており、株価は期末時点で4050円で取引を終えた。
関税を要因とする北米事業の損益悪化はニチリン固有のデータであり、業界全体の指標ではない。同社の業績予想は、ドルが修正後の想定である160円からさらに円高に振れない限り、経営陣がこの圧力を現行の通期計画の範囲内で吸収可能とみていることを示唆している。
