東京証券取引所に上場する採用プラットフォーム「BizReach」の親会社ビジョナルは、2026年7月期の連結売上高が前年比23.9%増の993億円、営業利益が同14.6%増の246億円で着地した。親会社株主に帰属する当期純利益は同16.4%増の186億円だった。2027年7月期の見通しは、売上高が同20.7%増の約1199億円、営業利益が同8.3%増の266億円とする一方、純利益は186億円とほぼ横ばいの見通しとしている。ビジョナルはこの差について、来期に影響する2つの税制変更を要因に挙げている。賃上げ促進税制の適用終了と、防衛特別法人税の追加負担であり、いずれも営業利益の増加にもかかわらず純利益を押し下げる要因になるという。
| 指標 | 2026年7月期(実績) | 2027年7月期(見通し) | 前年比 |
|---|---|---|---|
| 連結売上高 | ¥99.3bn | ¥119.9bn | +20.7% |
| 営業利益 | ¥24.6bn | ¥26.6bn | +8.3% |
| 純利益(親会社株主帰属) | ¥18.6bn | ¥18.6bn | +0.0% |
| BizReach売上高 | ¥80.1bn | ¥92.9bn | +16.0% |
| HRMOS売上高 | ¥9.3bn | ¥12.6bn | +35.6% |
BizReachが依然としてグループの収益を支える一方、HRMOSは異なる成長を遂げている。
中核の専門人材採用マーケットプレイス「BizReach」の売上高は前年比16.8%増の801億円、配賦前営業利益率は41.3%で、累計クライアント企業数は4万5800社を超えた。新興のHR基盤事業「HRMOS」は売上高が同78.2%増の93億円、年間経常収益(ARR)は同177%増の103億円に達し、クライアント数は同341.9%増の1万699社とほぼ5倍に拡大した。HRMOSの顧客あたり平均売上高(ARPU)は同37.3%減の8万520円だった。ビジョナルは、クライアント数の急増とARPU低下の両方について、開示指標の定義見直しが要因だとしている。HRMOSのKPIには現在、企業規模を問わず幅広い顧客基盤を持つ勤怠管理サービス「HRMOS勤怠」が含まれており、これが売上高とARRの増加にもかかわらず顧客あたり平均値を押し下げているという。HRMOSは年度の第2四半期に営業黒字化を達成したが、その後経営陣は再投資を選択し、2026年4月からテレビ広告やオンラインマーケティングを開始した。この結果、通期の配賦前営業損失は前年の7億6900万円から4億8500万円に縮小した。2027年7月期については、HRMOSの売上高は同35.6%増の126億円と見込む一方、成長投資の加速に伴い営業損失は再び約15億円まで拡大する見通しで、赤字は少なくともあと2年続く見込みだという。
Thinkingsの買収はのれんを押し上げたが、営業実績には影響していない。
2025年10月1日、ビジョナルの子会社BizReachは採用管理ソフトウェア提供会社Thinkingsの全株式を取得した。同社の採用管理システム「sonar ATS」は現在HRMOSの実績に組み込まれており、当期は10カ月分が連結対象となっている。総対価は140億円で、現金119億円と条件付き支払21億円で構成され、この買収により92億円ののれんが発生し、10年間で償却される予定だ。この結果、連結貸借対照表上ののれんは37億円から120億円に増加した。これらの数値は買収の貸借対照表への影響を示すものであり、組み込まれる営業実績そのものではない。HRMOS自体の売上高・損失には、すでにThinkingsの10カ月分の寄与が反映されている。
このほか、M&Aプラットフォーム「M&A Succeed」や脆弱性管理サービス「yamory」などを擁する小規模事業のインキュベーションセグメントは、売上高が同74.9%増の55億円となった一方、営業損失は前年の17億円から24億円に拡大した。経営陣は、BizReachの安定した収益基盤から新規事業投資やM&Aへの資金供給を継続する方針であり、その規律をどこまで維持できるか試される1年に入るとしている。
