アストロスケールホールディングスは四半期純損失を拡大させ、英国の目玉となるデブリ除去案件の入札にも敗れた。一方、大型の転換社債による資金調達で、期初時点より手元資金は大幅に増加した。
東証上場の衛星サービス会社(186A)は、2026年7月までの四半期における親会社株主に帰属する純損失が30億7000万円となり、前年同期の12億1000万円から倍以上に拡大したと発表した。IFRSに基づく売上高は4.4%減の12億円となった一方、売上高に政府補助金収入を加えた同社独自の管理指標であるプロジェクト収益は、複数のミッションで収益認識が遅れたことにより補助金収入自体が25.9%減少した影響で、より大きな14.5%減の20億2000万円となった。営業損失は23億8000万円から27億5000万円に拡大した。
| 項目 | 2026年7月期 | 2025年7月期 |
|---|---|---|
| 売上高 | ¥1,195mn | ¥1,250mn |
| プロジェクト収益(補助金含む) | ¥2,024mn | ¥2,368mn |
| 営業損失 | ▲27億5000万円 | ▲23億7600万円 |
| 親会社株主に帰属する純損失 | ▲30億7100万円 | ▲12億1100万円 |
| 基本的1株当たり損失 | ¥(22.13) | ¥(9.23) |
アストロスケールは、今回の減速は需要の変化ではなく部品調達や打ち上げ契約のスケジュールに起因する一時的な要因だとしており、2027年4月期の通期業績予想は据え置いた。プロジェクト収益125億円~170億円、売上高70億円~90億円、営業損失90億円~99億円としている。
貸借対照表は、2026年6月に完了した約306億円の資金調達により大きく変化した。これは2029年満期のユーロ円建て海外転換社債と、新株および転換社債の第三者割当を組み合わせたものだ。同社はこの資金を生産能力の拡大、寿命延長衛星「LEXI-P」の製造、運転資金に充てるとしている。現金及び現金同等物は期初の100億2000万円から349億5000万円に急増し、総資産は579億円に押し上げられた一方、調達に伴う負債の増加により自己資本比率は23.8%から22.2%に低下した。
受注済みおよび受注がほぼ確実な案件の積み上がりを示す受注残高は、7月末時点で363億5000万円となり、前期末から4.2%減少した。この金額は契約済み案件258億5000万円と、アストロスケールが計上を見込むもののまだ契約に至っていない105億円で構成されており、いずれもマイルストーン達成とサービス提供が完了するまでは収益として計上されない。
受注残高の減少は、英国での失注を受けたものだ。英国宇宙庁は2026年8月、アストロスケールの英国子会社に対し、機能停止した英国衛星2基を対象とするCOSMICプログラムのフェーズ3への入札が選定されなかったと通知した。同社はこの結果を「極めて残念」としており、評価に関するフィードバックは結果を十分に説明していないと述べ、英国当局との協議を継続している。COSMIC案件はもともと通期予想に織り込まれていなかったため、アストロスケールはこの失注による業績予想の修正は不要としている。
一方で他の案件は前進しており、四半期終了後にアストロスケールはイサー・エアロスペースとの間で、デブリ捕獲ミッション「ADRAS-J2」を同社のロケット「Spectrum」で打ち上げる契約を締結した。また資金調達に伴う発行済株式数の増加により、基本的1株当たり四半期純損失は9円23銭から22円13銭に拡大した。英国当局との係争は依然として解決しておらず、アストロスケールは当局との協議継続以外に具体的な時期の見通しは示していない。
