古河電気工業(5801)は9月24日、政策保有株式として保有する上場有価証券の一つであるUACJ(5741)株式の全株を、9月25日に証券会社を通じて売却すると発表した。東証プライム上場の電線・材料メーカーである同社は、売却により約286億円の売却代金を得て、約220億円の特別利益を計上する見込みだ。売却の理由として、政策保有株式の削減と成長資金の確保の2点を挙げた。
注目すべきは売却のタイミングだ。古河電気工業は当初、2027年3月期第3四半期以降にこの売却を計上する予定だった。市場環境やUACJの株価動向を踏まえ、売却時期を2026年9月までの上半期(中間期)に前倒しした。
この前倒しにより、中間期業績予想の2項目が修正された。親会社株主に帰属する中間純利益は、従来予想の425億円から580億円に、155億円(36.5%)増額され、1株当たり中間純利益も60円41銭から82円45銭に上昇した。売上高、営業利益、経常利益の中間期予想はそれぞれ7200億円、495億円、605億円で変更はなく、通期業績予想も修正していない。この増額分は有価証券売却による一時的なものであり、電線・材料事業本体の中間期の収益力が高まったことを示すものではない。
| 項目 | 修正前予想 | 修正後予想 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | ¥720.0bn | ¥720.0bn | 変更なし |
| 営業利益 | ¥49.5bn | ¥49.5bn | 変更なし |
| 経常利益 | ¥60.5bn | ¥60.5bn | 変更なし |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | ¥42.5bn | ¥58.0bn | +155億円(+36.5%) |
| 1株当たり中間純利益 | ¥60.41 | ¥82.45 | — |
売却対象株式の発行会社であるUACJが、取引の内容を確認した。古河電気工業は同社の第2位株主であり、売却対象は古河電気工業が保有するUACJ株式の全て、すなわちUACJの発行済株式総数の約7%に相当する株式で、証券会社を通じて売却される。UACJは、この売却をコーポレートガバナンス・コードの趣旨に沿った政策保有株式の縮小・解消に向けた取り組みの一環と位置付け、流通株式比率の向上や市場における流動性の改善、投資家層の拡大につながるとの見方を示した。UACJは、売却が自社の事業運営や業績に与える影響はなく、資本関係が完全に解消された後も古河電気工業との取引や協力関係は継続するとした。
UACJは、アルミメーカー2社の合併により発足した会社で、そのうち1社は以前古河電気工業の子会社だった。今回の発表では、古河電気工業が他に保有している可能性のある政策保有株式についてのスケジュールは示されておらず、今回のUACJ株売却が政策保有株式の広範な削減の始まりなのか、好条件の価格を踏まえた単発の売却なのかは、この発表からは判断できない。
