金融庁は証券会社の自己資本規制比率の算出方法に、リースに関連する控除項目を新設した。内閣府令と金融庁告示の改正を2026年10月30日に公布し、同庁によると同日付で施行・適用された。
改正の内容
この規定は、自己資本から控除すべき固定資産等に関する条項に置かれている。金融商品取引業等に関する内閣府令第177条第2項に新設された第3号は、原資産が有形固定資産であるリースに係る使用権資産を対象とする。これらについては、固定資産の額から控除できる額をリース負債の額または使用権資産の額のうちいずれか少ない額としている。
金融庁の告示でも、特別金融商品取引業者及びその子法人等を対象に第6条第2項第3号に同様の項目を設けている。同庁は今回の改正について、固定資産控除における解約可能なリースの取扱いを整備するものと説明している。
適用対象の線引き
新設された項目からは、契約期間の中途で解除できないリース及びこれに準ずるものが除かれる。パブリックコメントへの回答で金融庁は、この判定はリースに関する企業会計基準第34号など一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従って判断されるべきだとした。また、いずれか少ない額の算出はリースごとに判断されるべきだとした。
金融庁は、形式上は解約可能だが多額の違約金が課される契約について具体的な基準値は示さなかった。意見募集では残存期間の賃料に近い解約金や6カ月前の解約予告期間といった事例について照会があったが、同庁は回答で会計基準を示した。
改正では、複数の資産を担保とする借入金の按分規定も調整された。同規定は担保に供した建物と土地の項目のみを参照し、新設されたリースの項目は対象としない。金融庁は、今回の改正は担保に供した建物・土地の取扱いを変更するものではないとしている。
意見募集と適用時期
改正案は2026年7月31日から8月31日まで意見募集が行われ、27件のコメントが寄せられた。意見の中には、解約不能リースに係る控除額を5年かけて段階的に引き上げることなどの経過措置を求める声や、会計制度の変更のみで自己資本規制比率が低下することを懸念する声もあった。金融庁は、今回の改正は固定資産から控除できるものに関する改正だとして、経過措置を見送った。
対象となる業者の財務・コンプライアンス部門は、どのリースが解約不能リースの除外規定の対象外となるか、またリースごとの数値がいずれか少ない額とする基準に適合しているかを確認する必要がある。内閣府令と告示は2026年10月30日から適用される。
