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金融庁、生保破綻時の政府補助恒久化を諮問

政府補助が2027年3月に期限を迎える中、金融庁は恒久化の前提として業界負担枠の引き上げを提案。1000分の1の確率で発生するシナリオでは資金援助必要額を1兆1400億円と試算

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月30日2分で読める
破綻処理のセーフティネットにおける財源の階層構造を示す、圧力計が付いた水位の異なる3つの連結貯水槽

金融庁事務局は10月30日、金融審議会の保険制度ワーキング・グループに対し、破綻した生命保険会社に関する政府補助規定の恒久化を検討するよう求めた。2000年に創設され6回延長された現行規定は、2027年3月末が期限となっている。2026年7月21日付の政府の金融戦略は、次期通常国会への法案提出を目指している。

セーフティネットの財源構成

生命保険契約者保護機構は、破綻した生命保険会社の保険契約の移転等に必要な資金援助を行い、破綻時の責任準備金の原則90%を補償する。財源は3層構造となっており、2022年3月に積立を完了した限度額4000億円の事前積立枠、借入限度額4600億円の政府保証付借入枠、さらにそれを超える場合に一定の要件下で予算で定める金額の範囲内で交付される政府補助がある。政府補助はこれまで発動実績がない。

事務局は、生命保険会社の財務状況が安定していることから、短期的な必要性は必ずしも高くないと認める。一方で、戦争やパンデミックなど不確実性の高まりを踏まえればテールリスクへの備えには妥当性があり、その必要性は一定の期間内に失われるものではないと主張する。恒久化にあたっては、統計的手法を用いて相当程度の経済環境の変化に対応できる水準まで業界負担枠を引き上げること、事前積立金の運用益をセーフティネット制度の財源に繰り入れることを制度上明確化すること、費用負担の在り方を定期的に検証することを前提条件として挙げた。

ストレステストの試算結果

早稲田大学教授を兼ねる金融庁参事が提示した同庁のシミュレーションでは、2026年3月の生命保険会社の財務状況に10万通りの市場環境シナリオを適用した。債務超過となった生命保険会社は破綻したものとみなし、資産を時価評価した上で責任準備金を90%に削減した。純資産がシナリオ適用前の30%を下回った場合には、30%の大量解約が発生するとの追加ストレスを織り込んだ。

生命保険会社の破綻時における資金援助必要額の試算
2026年3月末の財務状況に10万通りの市場環境シナリオを適用した金融庁のシミュレーション。金額は各信頼水準における合計資金援助必要額
信頼水準発生頻度資金援助必要額
99.9%1000分の11兆1400億円
99.8%500分の18302億円
99.5%200分の15573億円
99%100分の14105億円
95%20分の10

恒久化を要望した生命保険協会は、過去の破綻処理における累計資金援助額は約7811億円に上り、すべて業界負担で対応したと説明した。また、2025年3月時点の平均ソルベンシー比率は、基準となる100%に対して215%だったと示した。ワーキング・グループの委員1人は意見書で恒久化に賛成しつつも、費用は業界負担を原則として政府補助は例外的な対応とすべきだと指摘し、業界負担枠の引き上げや、破綻時に経営陣の責任を検証する方針をあらかじめ明確にしておくことを求めた。

再保険キャプティブ制度の骨子案

事務局の2つ目の説明資料は、保険業法の改正によって創設する再保険専門のキャプティブ制度の骨子案を示した。同案は最低資本金を10億円から1000万円程度に引き下げ、業務報告書の提出を年1回のみとする。簡素な健全性基準の導入にあたり、親会社の出資や保証等を支払余力として勘案することを検討するとした。準備金の税制上の扱いは、税制改正プロセスを経て決定する。Tokyo Briefの過去の関連記事