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SESC、東証スタンダード市場銘柄での10日間の自己対当売買スキームに76万円の課徴金を勧告

日本の証券監視当局は、あるトレーダーが東証スタンダード市場銘柄で10営業日にわたり自己の買い注文と売り注文を突き合わせて需要を装い、市場価格を動かしたと指摘したが、勧告された課徴金はわずか76万円にとどまる。

2026年9月16日3分で読める
電子取引板上に積み上がった買い注文と売り注文のバーと上昇する価格線を描いたイラストで、自己対当取引スキームを表す。

証券取引等監視委員会(SESC)は、東京証券取引所スタンダード市場銘柄について需要を装うため10営業日にわたり自己名義で買い注文と売り注文を対当させたとして、あるトレーダーに76万円の課徴金納付命令を勧告した。2026年9月15日付で内閣総理大臣および金融庁長官に送付されたこの勧告は、リリースが実名を示し、スタンダード市場コード3802で識別する企業の銘柄取引を対象としている。

10営業日、ひとつの板

2024年5月30日午後2時25分頃から同年6月12日午後3時頃にかけて、当該トレーダーは自らの買い注文に対応させる形で売り注文を出す一方、他の投資家の売り注文を取り込み価格を引き上げるために成行または直前値段を上回る指値の買い注文を入れ、さらに買い注文を何段にも積み上げて実際以上に活発に売買されているように見せかけた。この期間中、トレーダーは買い注文73,500株を発注し、実際には120,500株を買い付け、113,500株を売却した。SESCは、こうした行為が取引を誘引し、当該株式の市場価格を変動させる目的で行われたと認定した。これは金融商品取引法が定める相場操縦の法的要件に該当する。

課徴金の算定基準は利益、市場規模ではない

SESCは同法第174条の2に基づき、対当した売買から生じた利得に残存ポジション分を加えて課徴金額を算定する。買い注文と売り注文が対当した113,500株については、売り側の金額5089万5400円が買い側の金額5022万100円を67万5300円上回った。また同法は、スキーム開始時点でトレーダーが既に保有していた23,100株についても、始値431円で評価した「みなし買付け」として扱う。この分を実際に買い付けた120,500株に加えると、みなし買付け株数は143,600株となり、売却した113,500株を30,100株上回る。この法定超過分は、スキーム終了後1か月間に記録された最高値463円で評価され、さらに9万800円が加算される。この2つの要素を合算すると76万6100円となり、同法の規定により1万円未満を切り捨てた結果、SESCが勧告した76万円という数字が算出される。

76万円の課徴金はどう算定されたか
数値はSESCが2026年9月15日付勧告に添付した算定資料による。
項目金額/株数
委託した買い注文73,500株
実際の買付株数120,500株
売却株数113,500株
売り側金額(対当分)¥50,895,400
買い側金額(対当分)¥50,220,100
対当分の利得¥675,300
法定みなし超過株数30,100株
超過株数分(高値463円で評価)¥90,800
端数処理前合計¥766,100
最終課徴金額(切り捨て後)¥760,000

公表内容が明らかにしていない点

SESCの公表資料は、勧告の対象となった個人または法人であるトレーダーの実名を明らかにしていない。この段階では実名の公表や最終的な命令の発出は金融庁および内閣総理大臣に委ねられており、それが通例となっている。公表資料は対象銘柄について東証スタンダード市場に「上場されていた」と表現しており、原文の日本語もそれ以上の説明を加えていないため、本稿では当該企業が現在も上場を継続しているとは前提していない。SESCは、本件が日本取引所グループの自主規制部門である日本取引所自主規制法人から提供された情報に基づいて構築されたとしている。