中外製薬(4519)の1〜9月期(9月30日まで)の国内製商品売上高は18.2%増の4063億円となったが、増収の一部は出荷時期の要因によるものだ。同社は国内事業所での次世代基幹業務基盤(ERP)の稼働開始に先立つ移行対応として、医薬品卸売企業向けの出荷を7〜9月期に前倒しした。四半期別の推移にもその影響が表れており、国内製商品売上高は第1四半期が8.2%増、第2四半期が5.1%増だったのに対し、第3四半期は39.9%増に拡大した。出荷前倒しによる押し上げ額は開示していない。
IFRS実績とCore利益
IFRSベースの売上収益は17.2%増の1兆700億円、営業利益は21.6%増の5226億円、四半期利益は22.8%増の3753億円だった。同社が非経常事項と位置づける項目を除外したCoreベースでは、営業利益が19.0%増の5361億円、四半期利益が20.2%増の3847億円となった。IFRS実績には、Core実績で除外されている無形資産の償却費19億円と事業再構築費用116億円が含まれる。
成長の牽引役
国内では薬価改定や後発品浸透が売り上げの重荷となったものの、主力品と2つの新製品が業績を押し上げた。新製品はリンパ腫治療用のバイスペシフィック抗体(開発コード:RG7828)と、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療用の遺伝子治療製品RG6356/SRP-9001(2026年2月発売)である。
海外製商品売上高は11.0%増の5005億円だった。ガルデルマ向けのNEMLUVIOの輸出が大幅に伸びたほか、ロシュ向けのALK阻害剤の輸出も増加した。その他の売上収益は、主にNEMLUVIOや血液凝固関連の抗体に関するロイヤルティ収入の増加と一時金収入の増加により、37.7%増の1613億円に拡大した。
製商品原価率は製品構成の変化により1.6ポイント上昇し34.7%となった。研究開発費は9.6%増の1412億円、販売費及び一般管理費は主に法人事業税や一時的な諸経費の増加により10.8%増の769億円となった。
通期予想は据え置き
中外製薬は1月29日に公表したCoreベースの通期業績予想を修正しなかった。
| Core指標 | 1〜9月期 | 通期予想 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 売上収益 | 1兆700億円 | 1兆3450億円 | 79.4% |
| 営業利益 | 5361億円 | 6700億円 | 80.0% |
| 当期利益 | 3847億円 | 4850億円 | 79.3% |
| Core EPS | ¥233.77 | ¥295.00 | 79.2% |
1〜9月期の売上収益は17.2%増となり、通期予想の6.9%増を上回るペースで推移している。1月公表の通期予想では、国内製商品売上高を5.4%増の4980億円、海外製商品売上高を1〜9月期の11.0%増に対して0.6%減の6020億円と見込む。決算短信では、こうした通期予想値において出荷前倒し分をどう扱っているかは説明していない。
配当と開発パイプライン
中間配当は66円を実施し、年間配当は132円を見込む。創業100周年記念配当150円を含めて272円だった前期からは減配となる。
開発パイプラインでは、9月にMOG抗体関連疾患を対象とする抗体SA237/RG6168の承認申請が欧米の規制当局に受理されたほか、8月には多発性骨髄腫を対象とするRG6160の第Ⅲ相臨床試験を開始した。一方、IMbrave251試験の結果を受けて肝がん二次治療におけるアテゾリズマブ(RG7446)の開発を中止し、ロシュの決定に伴いハンチントン病を対象とするRG6042の開発も中止した。決算短信では、これらの動きが売上収益に与える影響は示されていない。
