日本の8月の貿易統計は、過去最高水準に迫る輸出入がありながら、なお均衡しなかったことを示している。財務省の速報値によると、輸出は前年同月比19.3%増の10兆500億円と8月として過去最高を記録し、輸入は同28.0%増の11兆1500億円とこちらも8月として過去最高となった。その差から貿易赤字は1兆1100億円となり、前年同月比275.9%増、4カ月連続の赤字となった。
輸出は半導体等電子部品と自動車が押し上げた。輸入面では原油と半導体等部品が主導し、コンピュータや液化天然ガス(LNG)も寄与した。数量指数を見ると、今回の動きが単純な円安要因だけではないことが確認できる。輸出数量は前年同月比2.5%増、輸入数量は同2.7%増だった。8月の平均通関レートは1ドル=160.64円で、前年同月の147.73円から8.7%円安となったが、財務省の発表はこのレートと貿易赤字拡大との因果関係には言及していない。
季節調整値(暦要因を除いたベース)では、輸出は10兆8900億円、輸入は11兆7300億円となり、季節調整済みの赤字は8406億円と、7月から23.4%拡大した。これは、赤字が一時的な出荷時期のずれによる8月特有の現象ではないことを示唆している。
| 地域 | 輸出(8月) | 輸入(8月) | 収支 | 収支の前年同月比変化 |
|---|---|---|---|---|
| 世界 | ¥10.05tn | ¥11.15tn | -1兆1100億円 | +275.9% |
| 米国 | ¥1.72tn | ¥1.65tn | +704億円 | -77.6% |
| 中国 | ¥1.81tn | ¥2.36tn | -5516億円 | +29.4% |
| 欧州連合 | ¥866.3bn | ¥1.10tn | -2305億円 | +76.7% |
| アジア | ¥5.75tn | ¥5.42tn | +3301億円 | -38.3% |
日本の対米黒字は77.6%減の704億円に縮小した。対米輸入は55.2%増と13カ月連続の増加となった一方、対米輸出も24.9%増加した。これにより、対米黒字は近年で最も薄い水準の一つとなった。
対中赤字は29.4%拡大して5516億円となり、赤字は65カ月連続となった。対EU赤字は76.7%拡大して2305億円となり、4カ月連続の赤字となった。地域別ではアジアのみが黒字を維持したが、同地域からの輸入が輸出を上回るペースで増加したため、黒字は38.3%縮小して3301億円となった。
上記の数値はいずれも財務省発表の速報値である。同発表は輸出入の変動要因を特定の品目に帰しており、為替、関税、商品価格を原因として挙げてはいない。したがって、財務省がさらなる説明を示さない限り、より広範な解釈は未確認のものとして扱うべきである。
