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ベイン系、カカクコムTOB予定価格を3700円に引上げ—競合の3682円上回る

ベインキャピタルが組成した買収主体は、カカクコムに対して予定するTOB価格を1株3597円から3700円に引き上げ、競合するKamgras 1の3682円を上回った。KDDIが不応募に合意した場合の価格は3720円で据え置くが、開始にはなおカカクコム取締役会の賛同が必要となる。

執筆:Tokyo Brief Desk2026年10月26日5分で読めるLINEヤフー4689
競合するTOBを表す、門と株券の束の横に並んだ2つの階段状の価格ボードの抽象的なイラスト。

ベインキャピタル系ファンドが組成したリミテッド・パートナーシップのBCPE Blitz Cayman, L.P.(公開買付者)は10月26日、カカクコムに対して予定するTOB(株式公開買付け)の買付価格を1株3597円から3700円に引き上げると発表した。KDDIと不応募契約を締結できた場合の買付価格は3720円で据え置く。TOBはまだ開始しておらず、カカクコム取締役会が賛同を表明した後に開始する予定だ。この買収主体に間接出資を予定するLINEヤフー(4689)が自社の適時開示で公表した。

競合するTOBを実施中のKamgras 1との買収合戦を巡る新たな動きとなる。 Tokyo Briefの過去の関連記事

KDDIとの契約条件で異なる2つの価格

高い方の買付価格は、カカクコム株3501万6000株(所有割合17.55%)を保有するKDDIと不応募契約を締結できた場合に適用される。同契約では、KDDIは保有株を一切応募せず、臨時株主総会で株主を公開買付者とKDDIのみとする株式併合議案に賛成し、手続完了後にカカクコムによる自己株式取得に応じて売却することになる。

この契約を締結できない場合の買付価格は、従来の3597円から3700円となる。公開買付者によると、3720円という価格は前回の発表から変更はない。

公開買付者が予定する1株当たり買付価格
2026年8月21日には引き上げを実施せず。3720円の買付価格はKDDIと不応募契約を締結できた場合に限り適用される。
公表日KDDIとの契約なしKDDIとの契約あり
2026年7月29日¥3,520¥3,640
2026年9月16日¥3,597¥3,720
2026年10月26日¥3,700¥3,720

公開買付者によると、KDDIとの契約がない場合の価格は、カカクコムの財務諸表やデュー・ディリジェンスの結果、カカクコム取締役会によるTOBへの賛同および株主の応募の見通しに加え、LINEヤフーにおいてはゴールドマン・サックス証券から2026年7月28日付で取得した株式価値算定書を踏まえて決定した。KDDIとの契約がある場合の価格が契約がない場合より高い理由について、開示資料には記載がない。

市場株価との比較

公開買付者は、Kamgras 1のTOBに関する憶測報道が出た2026年4月23日の前営業日にあたる4月22日を基準にプレミアムを算出している。同日の終値2121円に対し、3700円は74.45%、3720円は75.39%のプレミアムとなる。

直近の株価と比べると様相は異なる。10月23日の東京証券取引所の終値は3760円であり、3700円は1.60%のディスカウント、3720円は1.06%のディスカウントとなる。過去1カ月平均の3796円に対してはそれぞれ2.53%と2.00%のディスカウント、過去6カ月平均の3535円に対しては3700円で4.67%、3720円で5.23%のプレミアムとなる。

競合するTOB

公開買付者によると、Kamgras 1は8月27日以降に買付価格を4回引き上げ、10月14日には3682円とした。4回のうち3回は3570円から3571円、3680円から3681円、3681円から3682円への1円の引き上げで、残る9月10日の1回は3571円から3680円への引き上げだった。公開買付者は、Kamgras 1の買付期間が115営業日に及ぶ見込みとした上で、直近2回の期間延長は投資家の判断を左右し得ない1円の値上げを理由に行われたと主張している。

公開買付者の買付価格は両案とも3682円を上回る。Kamgras 1は9月29日付の公開買付届出書の訂正届出書で、公開買付者が予定するTOBを真摯な提案ではなく意図的に実現可能性のない提案だと批判していたが、公開買付者は価格が上回ることを挙げて反論し、この批判は全く失当だとしている。これらは公開買付者の見解であり、開示資料に第三者による評価は含まれていない。

TOB開始に向けた前提条件

公開買付者によると、TOB実施に必要な許認可などのクリアランス取得は全て完了した。開始にあたっては、カカクコムの特別委員会が賛同意見の表明と株主への応募推奨を取締役会で決議することが相当と答申し、それを受けて同取締役会が賛同意見の表明と応募推奨を決議することが条件となる。また、カカクコムに重要な変更が生じていないことと、未公表の重要事実が存在しないことも前提としている。公開買付者は前者について該当する兆候は確認しておらず、後者についてもカカクコムの協力が得られれば容易に満たされるとみている。

公開買付者は7月29日時点で9月中旬の開始を見込んでいたが、現在は取締役会と特別委員会に関する条件が満たされるか否かやその時期は未定としている。

11月中旬という開始見通しは、Kamgras 1の公開買付届出書に記載されたカカクコムとKamgras 1の5月12日付公開買付契約に対する公開買付者の解釈に基づいている。同契約では、第三者がKamgras 1の買付価格を2%以上上回る適格な対抗非公開化TOBを開始した場合、または法的拘束力のある適格な対抗提案が公表された場合、カカクコムはKamgras 1に買付価格の協議を申し入れることができる。提案が適格と認められるには、資金確保の確度、許認可の取得、明示された前提条件の充足可能性に関する条件を満たす必要がある。Kamgras 1が10営業日以内に同水準以上の価格に変更しない場合、カカクコムはKamgras 1のTOBに対する賛同を撤回または変更できる。公開買付者によると、Kamgras 1の価格変更に対応して適格な対抗TOBや対抗提案の買付価格が引き上げられた場合も、2%以上の価格差という要件なしで同じ扱いが適用される。

公開買付者は今回の価格引き上げがこの2つ目のケースに該当するとみている。カカクコムが本日または近日中にKamgras 1へ協議を申し入れると予想しており、その申入れ日の翌営業日から10営業日以内にKamgras 1が公開買付者の価格以上に引き上げなければ、カカクコムはKamgras 1のTOBに賛同する義務から解放されるとしている。その場合、カカクコム取締役会が自らのTOBに賛同すると見込んでいる。

開示資料は公開買付者の見通しを記したものであり、カカクコム側の動きを示すものではない。カカクコムの取締役会や特別委員会の見解は記載されておらず、この発表が買付けの申込みや売付けの勧誘ではないことも明記している。