ANAホールディングス(9202)とリージョナルプラスウイングスは2026年10月29日、株式交換によるリージョナルプラスウイングスの完全子会社化に向けた協議・検討を進める基本合意書を締結した。リージョナルプラスウイングスは地域航空会社のAIRDOと、九州・沖縄発着路線を担う姉妹航空会社を傘下に持つ持株会社だ。合意書は方針と日程を定めているが、価格は決まっていない。
合意事項と未定事項
基本合意書は独占交渉義務や秘密保持義務などの一部条項を除き、法的拘束力を持たない。両社によると、株式交換の最終契約の締結はまだ決まっておらず、株式交換の実施は最終契約の締結や両社で必要な機関承認、競争法上の手続き完了などが前提となる。
株式交換比率や割当ての内容は未定だ。ANAホールディングスは、自社の市場株価や第三者算定機関による株式価値の算定結果、株式交換による効果などを踏まえ、最終契約の締結までに条件を決定するとしている。リージョナルプラスウイングスは、割当ての内容の算定根拠は確定しておらず、交換比率は第三者算定機関の算定結果を踏まえて決定するとしている。
今後の日程は、2026年12月下旬の最終契約締結、2027年2月下旬のリージョナルプラスウイングス株主総会での承認決議、2027年4月1日の効力発生を予定している。ANAホールディングスは自社の株主総会承認を要しない簡易株式交換の手続きを用いる方針だ。両社は日程が変更される場合があるとしている。
今回の合意の背景
両社の提出書類はいずれも規制見直しを背景に挙げている。2025年5月に国土交通省の国内航空に関する有識者会議が設置され、2026年5月には大手航空会社からAIRDOなどの特定既存航空会社に対する出資規制が廃止された。ANAホールディングスは2026年5月25日、リージョナルプラスウイングスの買収に関する意向表明書を提出した。
両グループはすでに緊密な関係にある。ANAホールディングスはリージョナルプラスウイングス株を12万9352株(15.32%)保有し、従業員1人が同社の社外取締役を兼任しているほか、同グループと航空機のリース取引がある。また、ANAホールディングス子会社はリージョナルプラスウイングスおよびその子会社との間で、コードシェア(共同運航)や販売、整備、地上取扱業務の委託などの提携関係にある。ANAホールディングスの提出書類によると、筆頭株主は日本政策投資銀行で、A種優先株式を含む発行済株式総数ベースでの持株比率は25.86%となっている。
リージョナルプラスウイングスの2026年3月期連結決算は、売上高が1088億円、営業利益が前の期の36億4000万円から減少し34億3000万円だった。純損益は14億5000万円の黒字(前の期は5億2300万円の赤字)となった。ANAホールディングスの売上高は2兆5400億円、営業利益は2174億円だった。
少数株主保護とブランドの扱い
リージョナルプラスウイングスは2026年7月7日に委員4人で構成する特別委員会を設置した。同委員会は10月26日までに計15回、約19.5時間にわたり会合を開き、基本合意書の締結は不合理ではないと全会一致で判断した。取締役会は同委員会の意見を最大限尊重し、同委員会が取引条件を妥当でないと判断した場合には株式交換を承認しないことを決議した。第三者算定機関にはリージョナルプラスウイングスがPwCアドバイザリー、ANAホールディングスがKPMG FASをそれぞれ選任した。
リージョナルプラスウイングスの取締役8人のうち、現在または過去にANAグループと関係のある4人は、基本合意書に関する1回目の採決に参加しなかった。その後、取締役会の定足数を確保するため、このうち1人を加えた2回目の採決が行われた。
特別委員会は、取引が成立すればリージョナルプラスウイングスの株主優待制度が廃止されると想定しており、少数株主への影響について議論が行われることを求めている。また、最終答申の条件として、取引が企業価値の向上に資することと、株式交換比率が合理的であることを挙げている。
AIRDOと九州・沖縄の航空会社の各ブランドは当面維持される。ANAホールディングスは中期的な戦略としてANAブランドへの統合も視野に検討するとしているが、現時点では検討段階にとどまり、決定事項ではない。
ANAホールディングスは、基本合意書の締結が業績に与える影響は軽微と見込んでおり、自社の株式が上場廃止になる見込みはないとしている。
