東京証券取引所に上場する組み込みブラウザ・ネットワーク基本ソフトのメーカーであるACCESSは9月11日、7月までの6カ月間の売上高が前年同期比16.8%増の105億7800万円になったと取引所に開示した。営業損失は19億8900万円から7億7900万円に縮小し、親会社株主に帰属する当期純損失は前年同期の27億1800万円から5億8800万円に縮小した。この改善はほぼ一つの事業セグメントによるもので、ネットワークソフトウエア事業の売上高は前年に計上した大型受注により2倍以上の57億4500万円となった一方、同事業は依然として5億8900万円の損失を計上した。
他の2事業は逆の動きとなった。IoTセグメントの売上高は前年の大型案件の反動で26.9%減の38億5900万円となり、セグメント損失1億1300万円に転落した。一方、ウェブプラットフォーム事業(組み込みブラウザおよび動画配信ソフトウエア)の売上高は13.1%減の9億7300万円となり、損失9000万円を計上した。
| セグメント | 売上高(百万円) | 前年比増減 | セグメント損益(百万円) |
|---|---|---|---|
| ネットワーク | 5,745 | +116.1% | -589 |
| IoT | 3,859 | -26.9% | -113 |
| ウェブプラットフォーム | 973 | -13.1% | -90 |
| グループ合計(連結) | 10,578 | +16.8% | -779(営業損失) |
同日付で公表された補足資料では、上半期に1億9200万円の為替差益を計上したことが開示された。主に海外子会社の外貨建て負債の評価替えによるもので、これにより営業損失と純損失の差が縮まったが、本業の実態を変えるものではない。通期業績予想は3月に公表した数値から変更されておらず、売上高230億円、営業利益8億円、純利益6億1000万円、無配のままとしている。
より厳しい内容は継続企業の前提に関する注記に記されている。ACCESSの半期報告書は、前期末時点で継続企業の前提に重要な疑義を生じさせる事象が存在し、それが中間期末まで継続したと明記している。これは複数年にわたる営業損失の累積により資金繰りが悪化していることに起因する。経営陣は、大口顧客の獲得を複数年にわたる収益の柱と位置付け、重要な不確実性は認められないと判断しており、財務基盤の強化に向けて資本提携、資本市場での資金調達、銀行借入やコミットメントラインなどの選択肢を具体化しつつあるとしている。自己資本比率は、期首の39.6%、前年同期の50.6%から中間期末には36.3%まで低下した。
こうした資金面の圧力に加え、取引所による制裁も未解決のままだ。東京証券取引所は2025年8月27日付でACCESSを特設注意市場銘柄に指定した。特別調査により、ネットワーク事業の海外子会社の経営陣が2018年1月開始事業年度から2025年1月期第2四半期にかけて、ソフトウエアライセンス収益を水増しし前倒しで計上したほか、資産計上した開発費を過大に計上していたことが判明したためだ。修正後の数値では、2024年度(2025年1月期)の営業損失は実際には19億7700万円だったにもかかわらず1億500万円と過少に計上されていたことが示された。また別途、ACCESSが2020年にマザーズ市場から市場第一部へ市場変更した際、正確性を保証する確認書が提出されていたにもかかわらず、取引所が誤りと認定した財務数値に基づいて承認されていたことも判明した。ACCESSは2026年8月27日付で内部管理体制確認書を取引所に提出しており、取引所による審査は継続中である。取引所の規則では、内部管理体制が不十分と判断された場合は原則として上場廃止となる一方、内部管理体制の整備は適切だが運用がいまだ適切でないと判断され、かつ運用が適切に行われる合理的な見込みがある場合には、特設注意市場銘柄の指定が継続され、存続の可否を判断する事業年度末までに、または当該事業年度の残余期間が3カ月未満の場合は翌事業年度末までに、改めて審査が行われることとなる。
