スギホールディングスの取締役会は7月9日、シンガポール政府系ファンドのGIC Private Limitedを割当先とする第三者割当増資により、新株508万2000株を1株3195円で発行する計画を承認した。今回の増資による調達額は諸費用差引前で162億4000万円、アドバイザリー費用・法務費用・登録費用など2億2855万円を差し引いた手取り額は160億1000万円となる。払込期日は2026年7月27日。
発行価格は、7月8日のスギの終値3287円に対して97.2%の水準で、直近取引日の終値からはディスカウントとなる一方、直近1カ月平均株価に対しては3.53%、直近3カ月平均株価に対しては3.10%のプレミアムとなる。新株発行により、発行済株式総数に対して2.67%、議決権数に対して2.81%の希薄化が生じる。
関東、中部、関西、北陸信越地域でドラッグストア・調剤薬局2321店舗を展開するスギは、今回の増資は単なる資金調達ではないとしている。同社は売上高1兆円を目標に掲げ、さらに長期的には1兆6000億円を目指しており、その実現には長期保有志向のグローバル機関投資家層を厚くする必要があるという。銀行借入や公募増資ではなくGICを選んだのは、機動的な買収に備えて銀行の与信枠を温存する狙いがあり、業界大手との大型共同投資の実績を持つGICとの間で、同社が「戦略的パートナーシップ」と呼ぶ関係を築くためだとしている。
| 資金使途 | 金額 | 支出時期 |
|---|---|---|
| 新規出店・改装 | ¥4.01bn | 2026年8月~2028年3月 |
| サプライチェーンシステムを含むDX・AI投資 | ¥8.00bn | 2027年3月~2029年2月 |
| 戦略投資・M&A | ¥4.00bn | 2026年8月~2031年2月 |
スギは調達資金について、2027年2月期から始まった新5カ年計画の原動力と位置付けている。うち約4分の1を新規出店・改装に、半分をデータ・AI・サプライチェーンシステムの刷新に、残りを戦略投資・M&Aに充てる。日本のドラッグストア・調剤薬局業界では、顧客基盤の縮小、最低賃金の上昇、薬価・調剤報酬の引き下げを背景に再編が進んでいる。同社は現時点で具体的な買収対象は決まっていないとし、案件を実行する場合は資本コストを上回るハードルレートをクリアする必要があるとしている。
GICは2026年6月19日時点で既にスギ株251万9900株を保有しており、今回の増資により同ファンドの持ち株比率は2.86%に上昇する。これによってもスギの筆頭株主であるスギ商事の地位は揺るがず、同社の持ち株比率は増資後に36.40%へとわずかに低下するにとどまる。スギは、GICが払込後2年以内に新株を売却する場合には直ちに報告し、スギがそれを公表できるとする書面での確約をGICから取得する方針だ。
今回の増資は、スギの第1四半期決算の発表と同時期となった。5月までの3カ月間の売上高は前年同期比10.1%増の2701億8000万円、営業利益は同10.9%増の122億1000万円だった一方、純利益は同67.5%減の69億円にとどまった。これは前年同期にI&H株式会社の吸収合併に伴う繰越欠損金に関連した繰延税金資産の追加計上があったことによる歪みが要因だ。スギは、今回の増資が2027年2月期の通期業績見通しに与える影響は軽微だとしている。同社はまた、2026年9月1日付で、子会社化を予定する調剤薬局チェーンを連結対象に加えるとともに、株式を1株につき2株に分割する予定だ。
