二つの目的に充てる社債発行
清水建設(1803)は2026年9月24日の取締役会で、無利息のユーロ円建転換社債(CB)を2本発行することを決議した。額面はいずれも500億円で、償還期限は2031年10月と2033年10月。発行価格は額面の103.0%とし、米国を除く欧州・アジアを中心とする海外市場で募集してシンガポール証券取引所に上場する。共同ブックランナーはNomura International plcとMizuho International plc。手取金の合計は約1000億円で、清水建設は開示資料でこの金額を直接明らかにしている。
清水建設によると、調達資金の使途は二つある。約900億円はAmerican Engineering Corporation (Okinawa)の完全子会社化を含む建設事業関連のM&A資金として2027年3月末までに充当し、約100億円は自己株式取得の資金として2026年12月末までに充てる。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 2031年満期債 | 額面500億円、無利息、発行価格は額面の103.0%、2031年10月14日満期 |
| 2033年満期債 | 額面500億円、無利息、発行価格は額面の103.0%、2033年10月13日満期 |
| 手取金合計 | 約1000億円 |
| M&A資金 | American Engineering Corporation (Okinawa)の完全子会社化を含め、2027年3月末までに約900億円 |
| 自己株式取得資金 | 2026年12月末までに約100億円 |
| 同日の自己株式取得上限引き上げ | 100億円から200億円へ(600万株から1200万株へ) |
希薄化を抑える自社株買い倍増
清水建設は同日、取締役会で自己株式取得プログラムの上限も別途倍増させた。取得株式数の上限は600万株(自己株式を除く発行済株式数の0.88%)から1200万株(同1.77%)に、取得価額の上限は100億円から200億円に引き上げ、取得期間は2026年8月17日から同年12月30日までで変わらない。理由として、転換社債発行に伴う自社株の需給への短期的な影響を和らげ、資本効率を高めることを挙げている。9月18日時点で清水建設は自己株式を約3870万株保有し、自己株式を除く発行済株式数は約6億7800万株だった。当初上限100億円のプログラムでは、これまでに約132万株を31億6000万円で取得している。
新株発行を抑える転換条件
転換価額は、清水建設が引受契約を締結する日の終値を下回る水準には設定できない。社債権者は、直前の四半期末までの20連続取引日における清水建設株式の終値が、適用される転換価額の150%を超えた四半期に転換できる。この基準は満期が近づく後半の四半期では130%に緩和されるが、社債条件に定めるいくつかの例外に該当する場合はこの限りではない。日本格付研究所が清水建設の長期発行体格付をBBB-以下に引き下げた場合、または格付投資情報センターが発行体格付をBBB-以下に引き下げた場合には、この価格基準は適用されない。また、社債の繰上償還通知に関連する期間、組織再編に関連する期間、あるいは特定の社債価格の不整合(「パリティ事由」)が生じた期間にも適用されない。清水建設自身の開示資料は、現在の株価を上回る水準に転換価額を設定するゼロクーポン債の発行と自己株式取得の拡大を組み合わせたこの枠組みについて、1株当たり利益(EPS)の希薄化を抑えつつEPSと自己資本利益率(ROE)の改善を支える手法だと位置付けている。
清水建設は別途、8月に提出した発行登録枠1000億円の社債発行登録を訂正し、今回の臨時報告書を参照書類として追加した。これは新たな開示に伴う手続き上の対応であり、借入条件の変更ではない。
