日本製紙は、東証上場のリンテック株を大量売却する条件を決定し、引受人向けの1243万6600株を、引受価額1株5115円、総額636億円で売却することで合意した。買い手側の売出価格は1株5335円で、9月1日の価格算定基準として用いられた終値5500円に対して3%のディスカウントとなる。これに加え、最大186万5400株のオーバーアロットメント分も用意される。
このうちかなりの部分が海外に向かう。引受人向け1243万6600株のうち500万5800株(売出価格5335円換算で267億円相当)は、欧州およびアジアの投資家向けに割り当てられ、米国およびカナダは明確に除外される。海外分の受渡日は9月8日に設定されている。
| 項目 | 株式数 | 1株当たり価格 | 総額 |
|---|---|---|---|
| 引受人買取引受分 | 12,436,600 | ¥5,335 sale / ¥5,115 underwriting | ¥66.3bn sale / ¥63.6bn underwriting |
| 海外向け配分(引受分の内数) | 5,005,800 | ¥5,335 | ¥26.7bn |
| オーバーアロットメント(グリーンシュー、未行使) | up to 1,865,400 | ¥5,335 | up to ¥9.95bn |
| リンテック自己株式取得(8月24日、別取引) | 5,464,400 | ToSTNeT-3 off-auction | ¥30.0bn |
今回の売出しは、リンテック自身の自己株式取得によって規模が途中で変動した。リンテックは8月24日、東京証券取引所のToSTNeT-3を通じた立会外取引で、自社株546万4400株を約300億円で取得した。日本製紙はこの自己株式取得に応じて535万7800株を直接売却しており、これは引受けによる売出しとは別の取引である。この処分によって、後に引受人に割り当てられる株式総数が減少した。
今回の売出しは、リンテックが引受けによる売出しを承認した8月20日の取締役会決議に端を発する。海外向け分は、引受人分とオーバーアロットメント分を合算した総数の半分を上限とする規則が適用され、その価格は業界規定の算定式、すなわち条件決定日のリンテック株終値の90~100%に従う。
今回の一連の売却は、日本製紙の決算にとって大きな一過性の要因となる。同社は2027年3月期に、単体決算で関係会社株式売却益として約564億円、連結決算で投資有価証券売却益として約239億円を計上する見込みで、いずれも今回の売却全体に紐づくものである。このうち、単体で263億円、連結で123億円は、引受けによる売出し分の価格決定前の8月24日、リンテックの自己株式取得に応じた売却によってすでに発生していた。これらの見積りには、主幹事のみずほ証券が保有し、まだ行使されていない186万5400株のオーバーアロットメント分に係る売却益は含まれておらず、日本製紙はこのグリーンシューが確定した時点で最終的な数値を開示するとしている。
この仕組みは注目に値する。今回の売出しはリンテックが新たに発行する株式ではなく既発行株式の売却であるため、その資金がリンテック自身のバランスシートに向かうことはなく、売却株主である日本製紙が資金を得ることになる。引受けによる売出しの申込期間は9月2日から3日まで、国内・海外両方の受渡日は9月8日で、シンジケートカバー取引期間は9月28日まで設定されている。
