TOYO TIREが2026年8月28日に提出した四半期報告書(訂正)は、一見ありふれた事務処理に見えた。だが実態は違った。訂正後の後発事象注記には、同社の近年における最も重大な株主構成変化の一つが記載されている。同日実施の自己株式取得と株式売却により、三菱商事との8年間に及ぶ提携の終了が予定されることになった。
TOYO TIREの取締役会は2026年8月7日、発行済株式総数(自己株式を除く)の20.78%に相当する3200万株を上限に、最大1567億7000万円で自己株式を取得することを決議した。取引は8月10日、東京証券取引所の大口相対取引向けオークション外市場であるToSTNeT-3を通じて執行された。取得した自己株式は、15万株を除き2026年9月30日までに消却される予定である。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| 自己株式取得規模 | Up to 32,000,000 shares (20.78% of shares outstanding excluding treasury stock) |
| 取得価額の上限 | Up to ¥156.77bn |
| 取得方法・実施日 | ToSTNeT-3 off-auction trade, August 10, 2026 |
| 消却予定株式数 | All but 150,000 of the repurchased shares, by September 30, 2026 |
| 三菱商事の応募株式数 | 30,822,200 shares (full holding) |
| 三菱商事の議決権(取得前後) | 308,222 units (20.07%) to 0 units (0%), effective August 10, 2026 |
| 提携締結 | November 1, 2018, via capital and business alliance agreement |
| 提携終了(予定) | August 10, 2026, contingent on the repurchase going through as planned, per the filing |
今回の取引を単なる資本効率化にとどまらないものにしているのは、その相手先である。TOYO TIREの大株主である三菱商事は、保有する全株式3082万2200株を今回の自己株式取得に応募する意向を同社に伝えた。同日提出された臨時報告書は、その計算を裏付けている。三菱商事の議決権は、2026年8月10日付で、全体の20.07%に当たる30万8222個からゼロになった。
三菱商事による応募後の保有比率が、両社が2018年11月に締結した資本業務提携契約で定めた基準を下回ることから、TOYO TIREの取締役会は、自己株式取得が計画通り実行された時点で同提携を終了する旨を決議し、終了日は2026年8月10日とされた。第三者割当増資によって成立した2018年の提携は、販売力、技術力、資源力の3分野における協業を軸としていた。TOYO TIREの開示資料は、この割当による調達資金が生産能力増強の資金確保に寄与したことを別途明らかにしており、両社は当初の目標が達成されたと判断しているとしている。同社はまた、今回の解消が連結業績に影響を及ぼすことはないとしている。
今回の訂正に伴い、8月28日にはさらに2件の書類が提出された。訂正後の四半期報告書を参照書類として正式に組み込んだ社債の発行登録追補書類(訂正)と、訂正後の開示内容が正確であり他に指摘事項がないことを証する、代表取締役社長による確認書である。あずさ監査法人は訂正後の四半期財務諸表をレビューし、無限定の結論を表明したうえで、自己株式取得の決議について強調事項として記載し、あわせて四半期財務諸表の訂正についても別途注記した。
TOYO TIREは、2018年の資本提携を支えてきた株主を欠いたまま、9月30日の株式消却日を迎える。
