経済産業省は、高圧ガス設備の微小な漏洩について、認定高度保安実施者がシール材の注入で補修できるようにする改正案を示した。同案では、従来の検査認定制度2件を通達から削除する。
2制度を廃止、1制度は存続
改正案は2026年11月2日付で、経産省産業保安・安全グループ高圧ガス保安室が公表した。9件の通達を改正し、2件を廃止する。2022年の高圧ガス保安法改正(2022年法律第74号)の第2段階の施行に伴うもので、これにより認定完成検査実施者制度と認定保安検査実施者制度が廃止される。同法は爆発などの災害事故を未然に防ぐため、高圧ガス(圧力1メガパスカル以上の圧縮ガスなど)の製造、貯蔵、販売、移動などを規制している。
改正案の大半は規定の整理だ。旧制度に関する手続規定を削除するほか、認定高度保安実施者に関する条項の繰り上がりに伴い引用条項の番号を改める。同法第39条の13から第39条の27までは、第39条の2から第39条の16までとなる。
すでに旧制度の認定を受けている事業者には経過措置を設ける。これらの事業者が行う保安検査については、規程の施行日から3年6カ月間、保安検査の方法の申請手続に関する2022年の現行通達が引き続き効力を有する。
シール材による一時補修
現行規定では、高圧ガス設備の補修は部品の取替えまたは溶接に限られている。改正案では、硬化性樹脂などのシール材を用いた一時補修を追加する。補修後の管理が重要となるため、経産省はこの工法の対象を認定高度保安実施者としている。また改正後の通達では、第2段階の施行日から3年6カ月間は、この補修に関する規定を旧2制度の認定事業者にも同様に適用するとしている。
認定高度保安実施者に関する改正後の通達で、適用条件を定めている。
- 対象範囲: 接合部、バルブ、可動シール部分からの軽微な漏洩で、人的被害が生じていない場合に限る。毒性ガスは除外される。
- 制限事項: 常用圧力が20MPa以下であり、かつ運転温度が流体の発火点より20℃以上低いこと。
- 事前評価: この工法には高圧ガス保安協会による事前の技術評価が必要となる。
- 事後管理: 本格的な補修を行うまでの間、遠隔監視や1日1回以上の点検などの方法で補修箇所に異常がないことを確認するほか、地震や暴風雨の後には遅滞なく点検しなければならない。漏洩が再発した場合はシール材を追加注入する必要があり、事業者はそれが高圧ガス事故に該当するか再確認しなければならない。
- 恒久対策: 事業者は一時補修と、その後に実施した本格的な補修について同協会に報告し、経済産業大臣および都道府県知事に届け出なければならない。
通達はシール材を保持するクランプの設計余裕も定めており、注入圧力を受ける部位は常用圧力に7MPaを加えた圧力で設計するとしている。
改正案ではこのほか、認定高度保安実施者が産業保安監督部長を経由して申請や届出などを行う規定も削除する。経産省は手続の合理化と事務負担の軽減を理由に挙げている。
今後の日程と意見募集
意見募集期間は2026年11月2日から12月1日まで。経産省の予定では、12月中旬に公布し、同月21日に施行する。認定高度保安実施者に関する通達への追加規定の1つは、冷凍保安規則等を改正する別の省令の施行日に合わせて発効する。
今回の意見募集は行政手続法に基づく手続ではなく、任意で行われる。意見は日本語で記入し、電子政府の総合窓口(e-Gov)、郵送、電子メールのいずれかで提出できる。経産省は個別の意見には回答しないとしている。今回の公表内容は案であり、最終的な文言は変更される可能性がある。
