京成電鉄(9009)は2028年3月から運賃を14.1%改定する認可を国土交通相に申請したが、同社の試算でも値上げで収支の不足は解消しない。鉄道旅客運賃改定申請に関するお知らせによると、2026年11月6日の取締役会で申請を決議し、同日付で申請した。申請が認可されるまで変更はない。
負担増の対象
14.1%は全体の改定率で、増収率はこれを下回る12.2%となる。いずれも現行運賃に鉄道駅バリアフリー料金を含めた場合の数値だ。京成電鉄は京成本線と千原線の普通運賃および通勤定期運賃に限り同料金を収受しているが、今回の運賃改定にあわせて廃止する。同料金を充てている施設整備は今後も継続し、これまで以上に推進するとしている。
扱いは券種によって大きく異なる。鉄道駅バリアフリー料金を含めない場合の改定率は、定期外が17.3%、通勤定期が15.3%となる。
| 券種 | 改定率(%) | 増収率(%) |
|---|---|---|
| 定期外 | 14.3 | 12.6 |
| 通勤定期 | 16.9 | 13.5 |
| 通学定期 | -11.5 | -7.2 |
| 定期計 | 13.7 | 11.2 |
| 合計 | 14.1 | 12.2 |
京成電鉄によると、普通運賃は鉄道駅バリアフリー料金を含めた現行運賃からの改定率が20%以内に収まるよう設定する。通勤定期はおおむね対キロ区間ごとの普通運賃の値上げ幅に合わせる。通学定期は家計負担に配慮し据え置く。ただ、表では通学定期の改定率はマイナス11.5%となっており、京成本線の通学定期割引率は80.0%から83.1%に拡大する。
初乗り運賃は、京成本線などが同料金込みの現行150円から170円に、成田空港線が210円から230円に引き上げられる。
新京成電鉄との合併に伴う運賃制度の統合
2025年の新京成電鉄(現・松戸線)との合併を踏まえ、京成電鉄は千原線と松戸線の運賃を京成本線と同額にし、これらの路線をまたいで乗車する際の運賃の併算を廃止する。ただ、松戸線内の利用は値上げとなるため、別途届出による運賃を設定する予定だ。これにより、6キロメートルを超える乗車は京成本線の運賃より安くなる。
コスト面の背景
京成電鉄は、物価上昇に伴う費用増やテレワークの広がりによる利用者減少に加え、直近では中東紛争による一段の費用増を理由に挙げる。多額の設備投資も理由としており、2028〜2030年度の3カ年で過去最大となる1670億円(年557億円)の設備投資を計画する。内訳は安全・安定輸送の確保に718億円、利用者サービスの向上に251億円、輸送力増強に701億円で、輸送力増強には車両基地の拡充や新型有料特急の導入が含まれる。
申請上の計算方式では、2028〜2030年度の3カ年平均の鉄道収入は1121億5000万円、原価は1203億3000万円となり、差引損益は81億8000万円の赤字、収支率は93.2%となる。現行運賃のままでは184億4000万円の赤字、収支率は84.7%になる。2026年3月期の実績は収入が933億4000万円、収支率が107.3%だった。同社は、これらの数値は申請上の計算方式によるもので実際の収支とは異なると説明している。
京成電鉄は、消費税率変更によるものを除けば、1995年以来32年ぶりの運賃改定としている。
