カカクコムの買収を巡る攻防で、また価格が引き上げられた。同価格比較サイトの非公開化を目指すEQT系の買収主体カムグラス1株式会社は、2026年9月10日に公開買付価格を1株3571円から3680円に引き上げ、期限も3週間延長して9月29日とした。5月の当初提示価格3000円から数えて4回目の引き上げとなり、スクイーズアウト後にカカクコムが非応募株式を買い取る際の価格も、2903円から2992円へと同時に引き上げられる。
| 変更日 | 公開買付価格(円/株) | 自己株式買取価格(円/株) |
|---|---|---|
| 2026年7月17日 | 3,450 | 2,805 |
| 2026年8月13日 | 3,570 | 2,902 |
| 2026年8月27日 | 3,571 | 2,903 |
| 2026年9月10日 | 3,680 | 2,992 |
今回の引き上げには明確な標的がある。株主のオアシスだ。オアシスは8月18日、1株3640円を下回る提示には応じないと公に表明していた。カムグラスの新たな提示価格3680円はこの水準を上回っており、両者はオアシスが保有株式を応募するかどうかについて協議を続けているが、合意には至っていない。
一方、カカクコム取締役会はもう一つの買収提案者との協議も継続している。ベインキャピタルとLINEヤフーの連合がBCPE Blitz Cayman, L.P.を通じて提示している価格は1株3520円で、KDDIとの非応募合意を確保できれば3640円となる。9月10日、取締役会と特別委員会は、カムグラスが3680円に引き上げたことを受けて価格を再検討する意向があるかを、この連合に書面で問い合わせた。カムグラスは、対抗陣営が構造的な制約に直面していると主張する。カムグラスは既にKDDIとの非応募合意を確保しているため、対抗連合が自らのKDDI条件を満たすには、カムグラスの提示価格を少なくとも2%上回る価格、9月10日時点で3754円以上を提示する必要があるという。7月2日に初めて示されたカムグラス案を支持する特別委員会の答申は変わっておらず、同社は応募するかどうかの判断を引き続き個々の株主に委ねている。
価格引き上げの影響は取引の反対側にも表れている。カカクコムに出資し、5月にカムグラスと非応募合意を締結していたデジタルガレージは、9月11日に変更報告書を提出し、提示価格引き上げによる財務上の影響を更新した。保有株式の買取価格が2992円に上昇したことを受け、デジタルガレージは2027年3月期中に取引が完了した場合、単体の特別利益を従来見込みの約380億円から約370億円に下方修正した。一方、関連会社株式売却に伴う連結利益の見込みは約300億円で変わらない。デジタルガレージは売却代金の一部を再投資し、カムグラスの最終親会社となる持株会社の議決権の約20%を保有する計画で、取引完了後もカカクコムの資本構成において持分法適用の持分を維持する方針だ。
公開買付期間は9月29日までとなっており、両陣営には次の一手を打つまで約3週間の猶予がある。カカクコム取締役会は、対抗提案の検討をいつまでに終えるかについて時期を示していない。
