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EQT、カカクコムへの提示額を3680円に引き上げ ベインキャピタルとの争奪戦続く

1カ月にわたるカカクコムの争奪戦でEQTの提示額は1株3680円に上昇、デジタルガレージは取引完了を前提に20.68%の保有株について約1224億円を得る見通し

2026年9月10日3分で読めるデジタルガレージ4819カカクコム2371
対抗する買収提案を表す2本の上昇する積み上げ棒グラフのイラスト、株主グループ間で持ち株比率が移動する様子を示す小さな図付き

EQTが出資するカカクコムの非公開化(TOB)主体であるKamgras 1は、ベインキャピタルとLINEヤフーによる対抗提案を退けるべく、1カ月間で3回目となるTOB価格の引き上げを実施し、1株3571円から3680円に改定した。5月13日から続く公開買付期間は9月29日まで延長され、決済日も10月6日に後ろ倒しとなった。

今回の値上げが最も影響するのは、カカクコムの筆頭株主であり、保有株式をTOBに応募しない旨で合意しているデジタルガレージだ。デジタルガレージは保有する全4091万7700株(持ち株比率20.68%)を売却する計画で、売却額は1224億円を見込む。同社は不応募契約を結んでいるため、通常のTOBとは異なる形で株式を手放す。カカクコムがTOB完了後のスクイーズアウトを経て、デジタルガレージの株式を直接買い取る仕組みで、その買取価格は2903円から2992円に引き上げられた。デジタルガレージによると、この買取価格はみなし配当課税の規定を用い、税引き後の手取り額がTOB価格でそのまま応募した場合と一致するよう設定されており、カカクコムの一般株主に対して優位に立つことはないという。取引が2027年3月期中に完了した場合、デジタルガレージは単体で約370億円の特別利益、連結では持分法適用会社株式売却益として約300億円を計上する見込みだが、いずれも取引完了が前提となる。カカクコムは価格比較サイト「カカクコム」、飲食店口コミサイト「食べログ」のほか、人材紹介・インキュベーション事業を運営しており、2026年3月期の売上高は941億円、営業利益は272億円だった。

度重なる価格引き上げは、対抗陣営の動きに直接起因する。LINEヤフーとベインキャピタルのプライベートエクイティ部門は7月、BCPE Blitz Caymanという買収主体を通じたカカクコムの非公開化案を法的拘束力のある提案として提出しており、LINEヤフーは間接的に共同出資する計画だが、これはあくまで対抗提案の計画段階にとどまり、取引が完了したわけではない。カカクコムの大株主であるオアシス・マネジメントはベイン・ヤフー陣営への応募に合意していたが、契約上の期限内にベイン側が対抗値上げに追随できなかったため、この合意は8月20日に失効した。オアシスは8月18日、1株3640円を下回る価格の提案は支持しないと表明していた。Kamgras 1の新たな1株3680円はこの水準を上回っており、買収主体側はオアシスが応募する可能性がかなり高まったとしているが、合意には至っていない。

カカクコムの第2位株主であるKDDIもKamgras 1と不応募契約を結んでおり、この契約が事実上、対抗提案の下限を規定している。KDDI保有株式の拘束を解除する条項を発動するには、対抗提案の価格がKamgras 1の現行提示価格を2%以上上回る必要があり、9月10日時点ではその水準は1株3754円となる。

価格引き上げの資金を賄うため、Kamgras 1の親会社は出資予定額を2110億円から2250億円に引き上げた。銀行融資枠は2250億円を上限とする水準を維持し、三井住友銀行とみずほ銀行を主幹事とする6行から調達する。これにより、調達資金総額は4360億円から4500億円に増加する。

Kamgras 1によるカカクコムへの最新価格改定
数値はKamgras 1およびデジタルガレージの開示情報における条件変更に基づく。7月・8月の価格改定については開示資料で言及されているが、ここには記載していない。
日付TOB価格(1株当たり)自己株式買取価格(併合前、1株当たり)
2026年8月27日¥3,571¥2,903
2026年9月10日¥3,680¥2,992

カカクコムの取締役会は5月以来Kamgras 1の提案を支持してきたが、7月には株主への応募推奨を撤回し、応募の判断を個々の株主に委ねた。特別委員会による取引への基本的な支持姿勢は、8月28日時点で変化していない。今回の値上げがオアシスを取り込み、TOB自体を成立させるのに十分かどうかは、公開買付期間が終了する9月29日まで判明しない。