国土交通省は、米連邦航空局(FAA)がすでに認定した模擬飛行装置(フライトシミュレーター)について、検査官を海外に派遣して再検査する運用を取りやめる方針だ。模擬飛行装置等認定要領および同細則の改正案では、航空局がこうした装置の実地検査を省略し、代わりにFAAの書類や検査結果で確認できるようにする。
改正案の内容
国土交通大臣の認定を受けた模擬飛行装置は、航空法施行規則に掲げる実地試験で使用できるほか、その飛行時間を操縦士の飛行経歴に算入できる。現状では、海外に設置された装置でも日本による実地検査が必要だ。同省によると、地理的に離れていることが申請者と当局双方の負担となっており、利用者が訓練や審査を柔軟に計画する上で支障になっているという。
今回の改正案の対象は、海外に設置され、FAAがレベルCまたはレベルDとして認定し、維持管理されているフルフライトシミュレーターに限られる。同省によると、日本の実地検査の3要件(基本要件・性能要件・機能要件)は、FAAが連邦規則集第14巻パート60(14 CFR Part 60)で定める模擬飛行装置等認定規則の基準に準拠しており、同等であるという。細則の改正案では、パート60またはそれ以前の認定要件に基づき認定された装置を対象とする章を新設する。
| 検査区分 | 省略できる検査 | 所有者の提出書類 |
|---|---|---|
| 認定検査(初回) | 実地検査の全部 | 認定要領2-3および2-4で求められるすべての書類 |
| 定期検査 | 実地検査の全部 | 通常の申請書類に加え、新たに交付された認定の事実を記載した書類の写しおよびFAAの定期検査で使用した書類一式 |
| 臨時検査 | 性能検査および機能検査の全部または一部 | 日本と同等以上の検査を行ったと判断できる書類 |
適用条件と義務
申請者は引き続き一連の書類を提出する必要がある。これには外国の航空当局による認定の事実を記載した書類、認定検査ガイド、品質管理規程、初回認定検査の結果、過去2年間の性能検査結果、過去3回分の定期検査結果(2回以下の場合はすべて)、過去2年間の不具合記録が含まれる。
実地検査を省略する場合、装置を使用できる用途の範囲も狭まる。認定される用途から実技審査が除外されるほか、外国の航空当局から使用が認められた用途に関する書類は原則として不要となる。
所有者は品質管理規程を通じて報告義務を負う。外国の航空当局の基準が変更された場合は速やかに航空局に報告し、新たな基準への適合を確認した上で装置を使用しなければならない。外国の認定に有効期限がある場合は、期限が切れる前に定期検査を受け、日本の新たな合格書の交付を受ける必要がある。外国の航空当局が認定を取り消すか停止した場合は、速やかに報告し、装置の使用を中止しなければならない。
すでに日本の認定を受けている装置に無条件で適用されるわけではない。今後の検査で新設される章の適用を受けるには、現在の認定を取り消した上で、新たに認定検査を受ける必要がある。すでに同章の適用を受けている装置が引き続き同章の適用を受けるには、前回の検査以降、認定された用途に使用されていなければならない。
今後のスケジュール
改正案は10月27日に公示され、11月25日23時59分まで意見を募集している。意見は日本語で作成し、電子政府の総合窓口(e-Gov)の意見提出フォーム、電子メール、郵送のいずれかで同省の乗員政策室に提出する。改正概要では公布・施行を11月予定としており、意見募集の締め切りからほとんど猶予がない。要領・細則の両改正案とも施行日は空欄となっている。
